三友エレクトリック株式会社

2024/2/6 毎日新聞(滋賀版)

私たちの気付かないところで、社会を根底から支える分野がものづくり業界には多くあります。パワーエレクトロニクスもその一つ。各種工学の知識を融合し、必要とする電力を効率的に輸送・変換・制御・供給する技術は、安定した電気の使用を保証してくれる現代社会の生命線です。今、地球環境やエネルギーに関わるさまざまな課題を克服するキーテクノロジーとしても期待が高まっています。

伊吹山の麓に広大な敷地を構える三友エレクトリックは、1974年に三菱電機名古屋製作所コントロールセンターの外注工場として創業。データセンター、ファクトリーオートメーションなど、社会・産業インフラとなるパワーエレクトロニクス機器製造を請け負うまでに発展しました。設計から板金製作、塗装、組み立て、据え付けまで一貫したワンストップサービスで、世界中の電力を高品質で支える企業です。主要製品は、予期せぬ停電や入力電源異常時に一定時間電力を供給し続けるUPS(無停電電源装置)やインバータ制御装置などの電力制御装置、工作機械関連製品。近年、従来の量産品生産から個別生産品の急増に適合し、組織変更、多能工化、設備増強により生産性を強化、顧客のあらゆる要望に柔軟に応える能力を発揮しています。2013年以降、売上高年平均5.7%の伸長を誇る背景に何があるのか、訪ねてみると独自の事業戦略、三つのキーワードがありました。

一つは「デジタル化」。月平均約7,000品種もの工程管理、図面、品質チェック、作業要領、生産実績などのデータを、誰もが瞬時に把握できるシステムを自社開発したのです。タブレット、バーコード、ユーチューブ、3DCAD、ICタグ、ラズベリーパイなどを駆使し、現場の見える化、情報共有が可能です。社員自身の課題解決を目的とした自製ならではの、改変やメンテナンスも自在。動線は3分の2に、リードタイムは30%短縮、コストダウンや在庫削減にも成功しました。二つ目は「現場力」。50年間蓄積された貴重な技能をベテラン層から若年層に伝承し、若年層が得意のデジタル力で現場に生かすという小集団活動で、現場改善を進めています。三つ目は「人材育成」。2022年4月、社内に「三友滋賀大学」を設立し、新入社員コース、若手フォロワコース、リーダコースの3段階で、自発性や向上心を高めています。中小企業にはまれなこうした取組にチャレンジする社風が、生産性を向上させているのです。

当産業支援プラザの「生産性向上支援インストラクター養成スクール」を修了した幹部層は現在、「しが産業生産性向上経営改善インストラクター」として、県内の中小企業経営者のためにもノウハウを伝授しています。

省エネ、再生可能エネ、産業用ロボット、スマートグリッド、EVなど、多くのビジネスチャンスで間違いなく市場の拡大が見込まれるパワーエレクトロニクス業界。「競合は全世界にいる。軽いフットワークによる生産性の改善と短納期の実現という中小企業ならではの強みを生かし、効率化を武器に戦いたい」と朝長慎三社長は意気込みます。持続可能な社会の実現に向けて、三友エレクトリックの役割はさらに大きくなりそうです。

企業概要

三友エレクトリック株式会社

(米原市天満200)

https://www.sanyu-sec.co.jp/

パワーエレクトロニクスを中心としたEMS、盤設計・製造、精密板金・塗装。

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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