株式会社ニューリー・土山

2023/11/21 毎日新聞(滋賀版)

近年、自動車、スマートフォン、家電、産業ロボットなどのエレクトロニクスは、高度な技術力や小型化、AI・IoTの浸透により、目まぐるしい進化を遂げています。それらの製品の頭脳をつかさどる「実装基板(電子部品を配置し電子回路を形成したもの)」の検査機器などを開発・製造する先進的な企業が、自然豊かな甲賀市土山町にあります。株式会社ニューリー・土山です。

1990年、スキャナー・画像処理ソフトウエアメーカーのニューリー株式会社(京都府久御山町)の関連企業として、地元の雇用創出も図った初代が土山町で創業。ヒューレット・パッカード(米国)のチャネルパートナー認定、チェックサム(同)やコアリス(同)との販売・技術サポート契約など、世界的企業にその品質が認められ信頼を得ていきました。現在、国内4拠点と海外2拠点を有し、日本を代表する多くの電子機器メーカーを主な取引先に、自社開発した基板検査装置・治具・周辺機器の設計から加工・配線・保守までを一貫して手掛ける企業です。

「基板検査装置」は、表面実装された電子基板の製造工程で不良品を検査する装置で、この検査装置と被検査基板をつなぐ接続機器が「治具」。基板ごとに違う専用の治具が必要です。電子機器が当たり前のように動く背景に厳格な検査プロセスが欠かせず、品質を担保するために不良品を除き、その原因を探り製造過程の改善につなぐという重要な役割を同社が担っているのです。

独自のコア技術による製品のひとつが、画像検査と電気検査を統合した「n=1Checker」。正しい部品が正しく搭載されているか、従来は半日を要していた手動検査を、自動化により10分程度に短縮できる装置で、約300台導入され世界をリードしています。他に、少量多品種生産専用の治具レス検査装置「LV-NAVI」や、AIの搭載により虚報率(良品を不良品と誤識別する確率)を大幅に低減する「微細電極検査装置」など、時流を見据え顧客に向き合う新製品を常に提供し続けています。現在は、4軸ロボットと4ヘッドを搭載し、治具なしで汎用的に検査できる業界初の「フライングファンクションテスタ」を開発中です。

同社の強みの一つは、基板の不良を一つたりとも見逃さない卓越した技術力。被検査基板を損傷せず、プローブ(探針)などを微細なポイントに正確にコンタクトするコントロール能力は、高く評価されています。独自のシミュレーションソフトにより、基板上のゆがみも最小化。二つ目の強みは、基板実装工程におけるトータルソリューションを提供できること。30年以上深堀りした経験知を基に、検査機器メーカーという枠を超え、顧客の視点に立った生産効率の向上、省力・省人化、自動化をカスタマイズした合理的な提案を得意とします。

昨年、この培ってきた「自動化技術」を地域に還元したいと、第2ステージとなる新規事業を立ち上げました。複数の金融機関と連携した「地場中小製造業への困りごと解決システム提供による人手不足解消事業」で、開発プロジェクトを進めています。この事業で得られた知見は本業に生かし、好循環にしたいとも考えています。

スマートフォンを例にとると、モデルチェンジのたびに電子回路が高密度化、複雑形状化し、これに伴い検査技術のハードルも高まります。「まだ世の中にないもの、他社が手掛けていないものを、自社の要素技術で作りたい」と語る2代目の野口雅人社長。世界を相手に最先端分野を確実に支えながらも、地域と共にさらなる成長を目指すニューリー・土山は、三方よしひいてはSDGsの精神を土山からグローバルに発信していています。

企業概要

株式会社ニューリー・土山

(甲賀市土山町北土山979)

https://www.newly-t.com/

実装電子基板向け各種検査装置、治具、周辺機器および自動化(効率化)機器の製造販売。

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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