花まる101 丸松木材株式会社(彦根市)

2026/8/21 毎日新聞

 柔らかく温かみのある質感と心地よい香りで心身を癒し、調湿機能や断熱性で住空間を快適にする「木材」。木目や色合いが一つひとつ異なり、経年変化を味わえるのも魅力です。近年は環境特性や持続可能性が見直され、従来の木造住宅だけでなく中高層建築などでも活用が加速しています。

 彦根のまちから、ずっと、もっと」を理念に木材流通を手掛ける丸松木材は、1949年、カナダから持ち帰った最新の製材技術で大規模に創業しました。高度経済成長期には、高速道路やトンネルなどのインフラに、また最高級のヒノキの通し柱などを住宅に納材。いち早くプレカットCADを導入するなど、常に時代を先取りしながら長い歴史を築いてきました。無垢材から稀少な銘木、古材、住宅設備まで幅広く、鋭い目利きで厳選した「イイネタ(良い素材)」を国内外から豊富に揃え、顔が見えるきめ細やかな適材適所のコーディネート力が何よりの強み。2011年就任の3代目、松田充弘社長はさらに「木」と「人」と「地域」をつなぎ合わせ、新しい価値を生むユニークな取り組みを広げています。

 その一つが「イイネタマルシェ」。地域住民による野菜やお菓子、アクセサリーなどの販売や、子どもの遊び場や木工体験などを提供する約1,000人規模のお祭りで、自社の敷地内で2013年から毎秋開催しています。おもちゃはもちろん、テントも木製。木の香りに包まれる他にないマルシェは皆に愛され、会話からビジネスの気づきも生まれる貴重な機会です。また「6歳になったら机を創ろう!」は、就学前の親子向けの学習机づくり体験で、全国各地から来訪。木の大切さを学び、初めて工具に触れる喜びや満足度は大きく、その弟妹の参加も続くほどです。さらに「カロムプロジェクト」では、昔から彦根に伝わる木製のボードゲーム「カロム」で地域を盛り上げ、観光需要や海外交流につなげています。関ヶ原の戦いを模した「戦国カロム」は今まさにトレンドで、東・西軍に分かれて武将の家紋を描いた駒で敵の駒をはじき落とすのが人気です。他に、県立大学の講師として、フィールドワークや卒業制作、木工サークルなどで将来の人材育成もしています。

 そして昨年、新たに始めたのが「気密測定事業」。建物の隙間の面積を専用の機器で測り、気密性能の数値化を教示する、工務店向けのサービスです。現在、日本では気密性能の法的基準や気密測定の義務化はありませんが、国交省によると遅くとも2030年までに省エネ基準が引き上げられ、より高性能な建物が求められます。

 流れを捉えた同社は専用ブースを設置し、2級建築士の資格を有する従業員が月2回、機器の使用方法や必要な知識を伝える研修を実施。断熱性能の向上、光熱費の削減、建物の長寿命化、延いては木造建築の拡大につなげる狙いです。サポートしたのは、県プロフェッショナル人材戦略拠点の紹介による副業人材。自身の本業の経験知を基に、戦略立案から本格稼働、情報発信まで段階的かつ多角的にアドバイスしました。

 木材流通のみに留まらず、「地域社会や中小工務店の伴走支援パートナー」として業界に新風を吹き込む丸松木材。蓄積された実績と信頼で、県北部の空き地の有効活用に関わる相談も舞い込みました。「木」を尊び、ポテンシャルを最大限に引き出しながら、「つなぐ」力を生かしたブランド戦略で真摯に地域の未来を拓いています。

企業概要

丸松木材株式会社

彦根市古沢町646

木材製品、建材、住宅設備の販売、プレカットCADサポート。
電話:0749-22-5535
同社HPはこちら

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
企画・DX推進課

TEL
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