花まる93 式会社Wallaby(近江八幡市)

2026/4/3 毎日新聞

 白壁の土蔵や古い商家などの情緒ある景観が広がる近江八幡市仲屋町(すわいちょう)。その名は商人の仲介を意味する「すあい」が転じたとされ、豊臣秀次が開いた城下町に多くの仲買人が集まり、商業の中心地として栄えた歴史の面影を残しています。近くには日牟禮八幡宮や八幡堀、ヴォーリズ建築などもあり、豊かな文化が薫るこの町の一画にあるのが「近江八幡まちや倶楽部」です。

 酒蔵をリノベーションした風情ある複合施設で、宿泊施設のほかカフェやインテリアショップ、ナッツ専門店、八幡帆布店、ネイルサロン、養生料理教室など、多様な店舗が軒を連ねています。

 近江八幡まちや倶楽部を経営するWallabyの宮村利典さんは、県健康福祉政策課で地域の民生委員や社会福祉協議会などを支援する中で、昔からの隣近所の支え合いが減り、県内でも孤独死や地域の孤立化が増えていることを懸念。土日に地元の地域活動に参加しながら、サポーターでなくプレイヤーとして地域課題に取り組みたいと考えるようになりました。

 折しも、仲屋町にある江戸期創業の広大な酒蔵が処分されると聞いた祖父と父がこれを取得。2015年、思い切って県職員を辞し、全国的な古民家活用ブームを追い風に、この酒蔵をノスタルジックな雰囲気のまま現代風のお洒落なホテルに改装して、起業したのです

 「維持保全だけでなく、ポテンシャルを最大限に引き出し、観光、滞在、さらには移住や事業を目的とする“人”の賑わいで町を盛り上げたい」。宮村さんの熱い思いや人柄に自ずと共感が集まり、テナントは年々増加して10店舗になりました。元醤油蔵の宿「kolmio(コルミオ)」や、昭和期のレトロな雑居ビルを改装したホステル「Little Birds Hostel」など、宿泊施設を拡大し、ステイしながら仕事ができるコワーキングスペース「co-ba omihachiman(コーバ・近江八幡)」も併設。貸しスペースは、「国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ」などエキシビションゾーンとしての活用が人気で、今後は常設のアート展示も見込んでいます。さまざまな出会いや掛け合わせが広がり、次なる空間に今後何が生まれるのか、この先の展開にも期待が高まります。

 宿泊者には商店街に繰り出してもらおうと、町内の飲食店での2食付きプランを提供するなど、商店街をあまねく元気にしています。口コミによると、地元の方による温かく丁寧な観光ガイドが大好評。最大の強みになっています。近年はチェックインシステムを改良し、インバウンドなどにも対応。大学院での学びや、産業支援プラザの専門家派遣制度を活用し、事業の柱を増強しています。

 伝統的建造物の保存・活用や観光を通じた地方創生の気運を好機と捉え、「個性を生かした自分たちらしい町づくりができれば、多くの人が来てくれるはず」と語る宮村さん。ぽつりぽつりと町屋が壊されていく故郷の現状を憂い、「より裾野を広げてパートナーを増やし、土台を強化していきたい」と言います。楽市楽座のもとで発展を遂げ、三方よしの精神で日本経済の近代化にも貢献した八幡商人の魂は、今なお息づいているのです。先人たちの遺産に、地域を愛する心、人の縁と絆、未来への願いを丹念に紡ぎ、Wallabyは全国に誇れる新たな「近江八幡モデル」を創造しています。

 次回は、Wallabyの頼れるパートナー企業、ウメテツ建設を紹介します。

企業概要

株式会社Wallaby

近江八幡市仲屋町中21(近江八幡まちや倶楽部内)

旅館業・住宅宿泊事業および住宅宿泊管理業・旅行業・飲食店・建物管理および貸室等の運営、宅地建物取引業、インターネットを利用した通信販売および広告。
電話:0748-32-4654
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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

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