【毎日新聞】「関西オートメ機器株式会社」を紹介する記事が掲載されました

　今年度、国立環境研究所主催の「環境賞」で、工場の排水処理工程などで発生するエマルションを水と油に解乳化（分離）して油分を浮上させる装置の開発により、中部電力ミライズと共同で優良賞を受賞した関西オートメ機器。2020年度「省エネ大賞」（省エネルギーセンター主催）、21年度「資源環境技術・システム表彰」（産業環境管理協会主催）に続く快挙です。微細気泡技術、ガス装置技術、またこれらを組み合わせた洗浄技術や目的別機能水生成技術で、社会に新たな価値を生み出しています。

　基軸となるは、約20年前から取り組んでいるマイクロバブル技術。直径0.1～0.001㎜の微細な気泡が、水液中で長時間滞留し、自己加圧による収縮と圧壊、マイナスの帯電による拡散と高密度な気泡群の形成、汚れの吸着などの工学的特性を生かし、洗浄品質の向上や環境負荷の低減などの効果を発揮します。マイクロバブルの生成方法は、圧壊、剪断、加圧溶解など多様ですが、同社はその全てに対応します。

　転機となったのは、大手自動車メーカーによる採用。装置の耐久性、低ランニングコスト、カスタマイズ力などの優位性が評価され、中部圏から全国に市場が広がりました。洗浄工程では、水系洗浄剤の使用量や水温・時間を節約し、汚泥や排水処理に使う中和剤を削減。また金属加工では、切削・研磨時の摩擦熱を冷却するクーラント液を浄化して長寿命化を促進。メンテナンスの手間を軽減し、効率的かつ作業者にも環境にも優しい技術で、顧客の生産性向上に寄与しています。

　この「微細気泡技術事業」と並行して注力しているのが「ガス発生装置技術事業」。特殊な中空糸膜フィルター「窒素富化膜」を通して圧縮空気から高濃度の窒素ガスを分離し、工業製品や食品の酸化防止や品質維持に活用できます。従来の窒素ボンベに比べ、安全、安価、省スペース。このガス発生装置技術と微細気泡技術、「ガス」と「液体」を組み合わせると用途はさらに広がり、「錆びにくい水」や「香り付けした液体」などの生成も可能な、ユニークな独自技術です。

　同社は1967年に創業し、79年に滋賀に移転。工場、大学、ホテル、大手薬品メーカーのクリーンルームなどの自動制御や計装ソリューションを主力に、時流に即した先進的な洗浄技術、省エネルギー・省力化などの新事業を展開し、主に自動車、半導体、化学などの分野でニーズに応えています。強みは「豊富なメニューから最適なノウハウを提供できること」。徹底した現場主義と少数精鋭のダイバーシティ経営で、堅実に高い利益率を維持。当産業支援プラザも補助金やマッチングなど、多彩なメニューで支援を続けています。

　「SDGsの高まりで需要はさらに増える。自己本位でなく顧客に喜ばれるトータルソリューションで挑みたい」と語る櫻田浩智社長。マイクロバブル技術は、工業のほかに農業、水産業、医療、福祉、環境など多方面から注目を浴び、社会実装が期待される未来材料です。関西オートメ機器がリードする革新的技術が、現場改善や環境問題の解決につながり、持続可能な社会を創造するでしょう。