花まる87 マロ―工業株式会社(草津市)

2025/11/21 毎日新聞

 「顧客を楽にするための努力は惜しまない」との信条のもと、自ずと事業拡大してきたマロ―工業。膝を交えた対話を重視し、オーダーメイドの自動機・省力化機器にオリジナルの価値を付加して、顧客の信頼を得ています。この度、得意先の思いを形にすべく新たに完成した試作機が、「動力取り出し装置~水+電気ツクール~」です。

 日常使用している多段式自転車に設置し、家庭用の浄水器をつなぐとお風呂やプールの水を生活水に変え、同時にUSB端子からスマホ2台の充電もできる、まさに緊急・災害時に役立つ新製品です。最外周のギアにチェーンを噛み込ませ、荷台に蝶ねじで固定するだけで工具も技能も不要、わずか5分で完成します。浄水器は、据置型もアンダーシンク型も対応可能。弾み車となる後輪をペダルで駆動し、ポンプと発電機を稼働させるしくみです。

 当特許権者である佐々木勉氏は、家庭用浄水器の研究・開発に長年の情熱を注ぐ中で、阪神淡路大震災や自身の病を経験し、「生存に欠かせない水の重要性」を痛感。身近なもので水や電気を供給できるシステムの発案に至りました。自国のみならず水資源に乏しいアフリカなどへの展開も見据える熱意に、マロ―工業が応え、浄水器の汚れを切り替えコックで逆流洗浄するアイデアを加えて実用化したのです。反響は大きく、現在、販売に協力する企業を求めています。

 1970年、機械設計技術者である初代がトライアルで部品加工を始めたマロ―工業は、卓上型の治工具から、大手電子・電気機器メーカーの自動組立機をはじめ、大型溶接機、ライン生産設備まで一気に規模を広げました。幼少期から機械に触れる環境にいた2代目の林渚現社長は、守秘義務を遵守すべく一業界に一社のみの契約を徹底。多種多様な業界のノウハウを蓄積することで、あらゆる分野に対応できるフレキシブルな技術力が磨かれ、大きな強みとなっています。センサーの組立機や検査機、冷蔵庫の組立部品、特殊なものではDVDプレイヤーの複合レンズなど、手掛ける製品はまさにさまざま。光通信関連等に使われるセラミック部品の研磨機は、特に精度が高いと好評です。

 同社にとって“自動化・省人化”とは、ハードのみならず「細やかな気配り」のこと。例えば、一般的に上積みするプレス製品を縦向きに並び変えるのは、腰を屈める作業負担を減らし生産効率を上げるため。設計者が自ら営業し、現場を見て生の声を聴く、独特のスタイルが成せる業です。当産業支援プラザの商談会も、情報収集や営業の場として上手く活用しています。

 働きやすい環境作りにも注力し、改善委員会、忘年会、バーベキューなどは従業員が主導。健康経営優良法人にも認定されています。

 『動力取り出し装置』のように、独創的な発想を顧客と共に具現化することが面白い」と語る林社長。企業間競争がますます激化する中、マロ―工業は深い洞察力と型に捉われぬ創意工夫で、今後も静かなイノベーションを起こしていきそうです。

企業概要

マロ―工業株式会社

草津市青地町782-3

自動機・省力化機器・検査機・ライン等の製造・販売。
電話:077-564-7470
同社HPはこちら

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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