花まる86 有限会社須戸電設(米原市)

2025/11/7 毎日新聞

 世界でも先進的な日本の鉄道システム。その進化は留まることなく、ITの導入や設備のスマート化など、快適で安定した交通インフラを常に提供し続けています。こうした背景の中で、鉄道システムを支える電気工事の役割はますます重要に。私たちの生命や日々の通勤・通学、旅行、物資の輸送まで、生活に欠かせない社会基盤を見えないところで守り続け、県内トップシェアを誇るのが須戸電設です。

 1963年、創業者である現社長の祖父が、国鉄の米原―名古屋間の電気工事の一部を受託。88年に法人化し、JR西日本グループを中心に、東海道新幹線を含むJR東海、近江鉄道、信楽高原鉄道にエリアを広げ、信号、踏切、転てつ機、非常ボタン、運行管理システムなど多岐にわたり、製図から保守点検まで一括して電気設備を手掛けています。現在は、東海道新幹線において、2027年に運用予定のミリ波方式列車無線(高速で大容量の通信技術)の整備や、北陸新幹線の新駅におけるシステム制御などにも携わっています。

 公共性の高い鉄道電気工事に求められるのは、何よりも「安全」と「品質」。作業員には、鉄道利用者の安全管理だけでなく、自身に対する十分な注意と共に、技術力の向上と専門的な知識が要求されます。須戸電設が大切にするのは“人的資本”。資格修得補助制度や研修制度を強化し、JR指定資格や法定資格の取得などに必要な費用の全額負担や、ビジネスパートナーも招いたベテラン従業員による勘を学ぶ定期的な勉強会を、スキルアップにつなげています。また、ワークライフバランス推進モデル企業として、有給取得率や育休制度の向上、従業員旅行や多彩なレクリエーションなどの充実に注力。今年新たに、習熟度を測る技能競技会を計画中で、若手をリーダーに施工方法の正確性や保護具の使い方、高所作業の安全性などをチームで競い、コミュニケーションの促進や慰労も兼ねたユニークなイベントにしようと考案しています。

 さらに、県プロフェッショナル人材戦略拠点からアドバイスを受け、自社オリジナルの「安全マニュアル」を作成。予防保全を目的に技術を細分化・見える化した初心者にも理解しやすい動画で、県内の他業種からも作成依頼があるほどの高い完成度です。

 「事故がほとんどない」ことが、同社最大の強み。「須戸電設に任せれば何とかしてくれる」と信頼を得ている所以です。3代目の須戸聡士社長が目指すのは、既存技術の「深化」と「応用」。これまで以上に教育や設備に投資し、ノウハウを極め、業務を多系統に広げたい。同時に、再生可能エネルギーや省エネ・高効率な設備導入の高まりを追い風に、大学で学び得たエネルギー経済学の知識を新事業に生かしたいと考えています。また若い世代に、日本の大動脈を支える誇りや、地域の安心安全と直結する社会的責任とやりがい、未来を創造する可能性に満ちた仕事の魅力を発信していきたいと言います。

 モーダルシフトが推進され、環境負荷が少なく輸送能力の高い鉄道は、持続可能な社会の構築に不可欠な手段です。需要の尽きない成長分野の現状に甘んじることなく、10年後20年後を先読みする技術者集団は、高度な専門性を武器に業界を変え、次世代のインフラを先導する役割を発揮していきそうです。

企業概要

有限会社須戸電設

米原市顔戸1805

電気工事業、電気通信工事業。
電話:0749-52-4538
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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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