【毎日新聞】「株式会社澤村」を紹介する記事が掲載されました
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花まる80 株式会社澤村(高島市)
2025/8/18 毎日新聞

青い水盤と琵琶湖がひと続きのような絶景が人気の「びわ湖テラス」を施工した株式会社澤村。当コーナーで紹介した山科精器株式会社や株式会社池田製作所がイノベーションを生み出している新社屋も、同社のデザインによります。自社の売上や社員数も、直近5年間で倍増。「ブランディング」をキーワードに、地域引力を高めている企業の極意を探りました。
戦時中、舞鶴港で船舶設計から始めた現社長の祖父である創業者は、大手工務店や地元木材店の番頭で鍛えた木造技術と、県内で稀少だった一級建築士の資格を強みに、1950年に独立。品質に厳しい職人気質で、設計もできる工務店として学校や病院などの公共事業で信頼を得ていきました。父である2代目は、分譲マンションなど民間事業を拡大し、ビジョンを語り共感を得るコミュニケーション力で高島に「地図にない街づくり」を実現。そんなDNAを継ぐ3代目の澤村幸一郎 現社長は、25歳で就任直後の不況の波を乗り越え、イノベイティブな展開を続けています。

例えば、工場・倉庫のシステム建築「CANARIS(カナリス)」は、橋りょう設計を応用した無柱スパン最大60mの高張力鋼によるフレーム構造で、高品質、短納期、低コストを合理的に実現。関西エリアで多くの施工実績を持ち、企業ごとの魅力や働き方に合わせた意匠・機能を兼ね備えた設計提案も特長的です。住宅事業では、アートを日常に取り込んだ常設モデルハウス「THE ART HOUSE」で、空間そのものが暮らしの質を引き上げる新たな価値を提示しています。設計から施工まで一貫して提案できること、法人・個人両顧客の実績を同時に伸ばしていることが他社にはない強み。このしなやかな対応力が、特異の空間コーディネートやデザイン性を開花させているのでしょう。
さらに2018年、本社を役職・部署の区分けのないフラットで風通しの良いオフィスにリニューアル。この「働く環境の変化」がその後の成長を加速させました。オープンマインドな社風の中で、人事部がパーソナリティを務める昼休みの社内ラジオ「S-Radio」や、思考・行動特性を可視化する「エマジェネティックス®」を導入。社員同士が互いの仕事や人となりを知る機会を積極的に作り、業務に好影響を与えています。この本社は24年にオフィスとして県初の「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」を取得。現在、建築現場の事務所もウェルネス化を進めています。

何もなかった山頂の崖に今や何十万人もの観光客が訪れるびわ湖テラスが、顧客の潜在的なニーズや魅力を引き出し、暮らしの質向上や企業成長への「きっかけを創造する」重要性に気付かせてくれたと言います。なぜこの建設が必要なのか、何を解決したいのか、全関係者が事前に話し合いを重ね、顧客の思いを形にすべく伴走します。この力を養うために従業員教育にも力を入れ、形式的な方針発表会は双方向型に変え、全社員が「きっかけを創造する」ミッションを自分ごととして捉えて日常の行動につなげるためのワークショップを実施しています。
「地方でも中小企業でも挑戦できる」。オープンカンパニーで自社の取り組みや成功事例を共有することにより、滋賀に魅力ある企業を増やし、理想の働き方や暮らしが叶う社会を創りたいと考えています。澤村が発信する明確なビジョンと、それに共感する多様な仲間が続々と集い、地域創生の兆しを感じました。
企業概要
株式会社澤村
高島市勝野1108-3
住宅・オフィス・店舗・工場・公共施設などの設計・建築・土木。
電話:0740-36-0130
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お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
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- 077-511-1411