岡本電気株式会社

2023/10/17 毎日新聞(滋賀版)

「硫化水素」の危険有害性についてご存知でしょうか。人体に影響を及ぼすだけでなく、特有の腐卵臭を発する前の僅か0.003ppmでも電子機器などを腐食しはじめ、気付かぬ間に腐食が進むと、破損により工場の生産ラインが停止するなどの事故につながる可能性があります。1960年の創業以来、電気に関わるあらゆる分野で培った技術力を基に、この硫化水素を除去する「コルライン」を製造販売している岡本電気株式会社を紹介します。

工場やプラントの電気設備の設計・施工を主力とし、メンテナンス、通信ネットワークの構築、環境改善など多様な事業を展開、昨年度には工事総数4900件以上の実績を誇る企業です。高いスキルを持つ技術者も多数在籍します。全国に3支社5営業所を有し、制御システム設計を専門とする開発型のグループ企業、岡本エンジニアリング株式会社と連携したトータルソリューションを提案、提供できることも大きな強みです。

顧客のトラブル解析を請け負う中で、インバーターやシーケンサーなどの不具合の原因が硫化水素であることが多々ありました。ある企業から9年前に受け継いだ脱硫技術が、この解決につながったのです。

完成した「コルライン」は、酸化鉄を主原料とする吸着剤を含侵したポリエステル基材の乾式フィルターと、これを内蔵し空気を吸い込むボックス型の装置から成ります。空気がフィルターを通る際に、酸化鉄が硫化水素を吸着し硫化鉄を生成、硫化鉄は酸素と結合し、再び酸化鉄となり新たな硫化水素を吸着するという、持続可能なメカニズムが特徴です。

フィルターはコルゲート(波状)ハニカム(三次元空間充填)構造で、カッティング加工が可能。従来のペレットに比べ、圧力損失が小さく、吸着性能は3~4.85倍。メンテナンスはフィルター交換だけで、手間がかからず低コスト。さらに、装置は使用状況に合わせた多様な品揃えで、オリジナルの設計もできるため、ニッチな現場にも適応可能。まさに多彩なメリットを備えた脱硫製品です。

条件がそろえばどこでも自然発生してしまう硫化水素への対策は、リスクが高まる前の予防が有効です。コルラインは、製紙・食品などさまざまなものづくり工場、排水・産業廃棄物処理施設、石油精製場、研究機関、温泉、一般のオフィスやマンションなど、いろいろな場所でトラブルを回避し喜ばれています。今、電気自動車向けなどで開発が進む硫化物系全固体電池も硫化水素の発生が課題であり、同社はこの商機も捉えようとしています。

「コルラインという新しい種をまき、本業との両利きの経営で、産業や暮らしを底支えしていきたい」と岡本祐樹副社長は展望を語ります。IoTや労働人口減少が進む時世でも「人」を資本と捉え、その価値を最大限に引き出している同社は、県プロフェッショナル人材戦略拠点のアドバイスにより副業人材も活用し、業績アップにつなげています。硫化水素のリスクにいち早く警鐘を鳴らし、安心安全な未来を見据えて「電気と環境を考える」岡本電気株式会社。社員、顧客、地域から永く愛され、さらなる成長を続けていくでしょう。

企業概要

岡本電気株式会社

(大津市粟津町1-20)

https://www.okamoto-dk.com/

電気工事業、環境事業、エンジニアリング事業。

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(公財)滋賀県産業支援プラザ 
情報企画課

TEL
077-511-1411

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