【毎日新聞】「島本微生物工業株式会社」を紹介する記事が掲載されました
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花まる85 島本微生物工業株式会社(甲賀市)
2025/10/24 毎日新聞
自然災害や温暖化、生産者の減少などの課題に直面し、農林水産業の生産力向上と持続性の両立を実現する「みどりの食料システム戦略」を策定した日本。2040 年までに主要品目における次世代有機農業の技術を確立し、50年までにその取組面積を耕地面積の25%に拡大することを目標としています。すでに70年以上前から“自然に逆らわない農法”、微生物と酵素を活用し、地力を高めて安全で栄養価の高いおいしい農産物を増産する、環境に優しい循環型農業を推奨しているのが、島本微生物工業です。
戦後、食糧難の中で化学肥料の普及に疑念を抱いた初代は、木材くずに含まれている有害物質を微生物の発酵熱により無毒化し、日本初の堆肥化に成功。戦前に経営した製菓工場で得た唾液酵素の知識と、実家である麹屋の発酵技術を生かし、農畜産用資材の製造と農業技術の研究を行う事業を立ち上げました。併せて農業従事者のために、日本古来の醸造技術による酵素を用いた健康食品を開発。特許を取得せず全国に農法を広めて、礎となる農業の力で日本を復興しようと尽力しました。
「発酵」とは、微生物のはたらきで有機物が分解され、形を変えたり新しい物質を生み出す作用。「島本微生物農法」は、この発酵作用を応用しています。農法の三つの柱のうち基軸となるのは「土づくり」。土壌中の微生物環境を整え、栽培に適したふかふかの土で作物本来の生命力を引き出す、最も大切な作業です。「有機発酵肥料」は、発酵作用により有機資材から多くの栄養素を取り入れた肥料。「糖の葉面散布」は、発酵作用で分解した糖の分子を植物の葉に補給し、光合成を補います。島本バイム農場は、これらを実証実験する微生物農法の研究所。50品目以上の作物のほかに、木材くずから堆肥を仕込み、栽培に必要な肥料や活力材などを手作りしています。
近年、この技術を生かして地域で生じるさまざまな廃棄物を堆肥化し、資源を循環させる取り組みも行っています。例えば、地元の菓子製造販売企業では、製造過程で生じた食品由来の有機汚泥を堆肥に変え、新店舗エリアの土づくりや種生姜の植え付けなどに貢献しました。
座学と実習による定期講習会への参加総数は1万4000人以上。直接現地に赴き、課題に応える指導力にも定評があります。農業のすべてに関わる豊富な経験知が強み、信用力につながっているのです。韓国、中国、マレーシアなどにも環境保全型農業技術として導入され、国内外から視察が増えて、有機農業への機運の高まりを感じているそうです。
「今年新たに、発酵技術の総力を結集した健康食品「KOSOL」を製品化。自社農場で育てた野菜、果物、穀物など17種を原料に有用菌が腸内環境をサポートし、アミラーゼ力価やプロテアーゼ力価にも優れます。食卓で調味料のように使用でき、若者向けのおしゃれなネーミングとパッケージにした新ブランドです。
「弊社が必要とされない時代がゴール」と語る島本光久社長。高温多湿で耕地の狭い日本では化学肥料の使用は適切であれば否めず、有機農業による付加価値、特に“栄養価”をより見える化するしくみが重要と言います。大学とも連携し、「県中小企業新技術開発プロジェクト補助金」を活用して農作物病害菌防除に資する土壌改良剤のさらなる研究開発を進めています。
今こそ原点に立ち戻り、健康な土づくりから始めて、生命に直結する食料問題や環境問題に本気で取り組みませんか。
企業概要
島本微生物工業会社
甲賀市水口町本丸1―23
農畜産用微生物資材製造、肥料・飼料製造、健康食品製造、農業技術(島本微生物農法)の研究。
電話:0748-62-3328
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お問い合わせ先
(公財)滋賀県産業支援プラザ
情報企画課
- TEL
- 077-511-1411
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