うちでのこづち67号
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高粘度・高濃度のものについてモーノポンプは威力を発揮し、食品はもちろん、紫外線で硬化する樹脂など変質しやすい液やトナーなどの粉末状のものまで、高精度に定量移送できます。   素材開発から       製品化へ―― 御社の強みとは?モーノポンプは移送だけでなく、充填・注入・塗布といった生産工程にも幅広く使われており、対象物にあわせてローター・ステーターを開発できることが当社の強みです。例えば、高粘度の液体を微量ずつ自在に塗布・充填できる装置「ヘイシンモーノディスペンサーHD型」は、0.1マイクロリットル(1万分の1cc)レベルの微量の液を塗布できるので、自動車用電装部品への高粘度の放熱シリコーンや、電子基板のはんだペーストの塗布など多方面で活用されています。ディスペンサー用の超小型ローター・ステーターを作るためには、超精密機械加工技術や超精密ゴム成型加工技術が必要で、それらの開発・製造は私たちでしか成し得なかった技術だと自負しています。―― 業界や市場の動向は?当社のモーノポンプの技術が用いられている分野は主に3つあります。1つは上下水道やし尿処理などの官公需、民間工場の排水処理など環境の分野。2つ目は食品で、人手不足を補う自動化や衛生管理・安全性への要求がいっそう厳しくなるなか、部品点数が少なく洗浄しやすい仕様のポンプが求められています。高齢化に伴い、ペースト状の商品が増えるなど食品の形態が変わってきていることを受け、食品関連の生産設備市場は活況です。そして3つ目が、今もっとも注力している電機、自動車の分野です。リチウム電池関連やフィルムなどが伸びており、とくに自動車のEV化は期待のもてる動きと捉えています。自動車業界では軽量化も進んでおり、ビス留めや板金に替わり、接着剤やシーリング材を使うプロセスが増えていることから、この分野は当社にとって大きな市場になってきています。―― 今後の展望をおきかせください。高精度、高耐久、かつ小型のポンプやディスペンサーが求められており、構造はもちろん工作機械や素材の開発から取り組まなければニーズに合致する製品は作れませんし、シーズ型の製品も生まれてこないでしょう。それらを支える人材を育成するため技能検定にも積極的に挑戦しています。つい先日開催された技能五輪全国大会にも、滋賀県代表として出場を果たしました。産業支援プラザを通じてこれまでに3度サポイン事業※に採択いただきました。これにより新製品を世に送り出せたのはもちろん、精密加工ルームを工場内に建設できたほか、大学や専門家の先生との人脈も築けました。サポイン事業へのチャレンジによって私たちが得た技術、技能は計り知れません。現在はセラミックス製高精度ステーターを用いた次世代二次電池電極塗工用ポンプの開発を進めており、若い技術者たちはやりがいをもって開発に打ち込んでいます。製品の精度向上、長寿命化でイノベーションを起こすことが私たちに課せられた役割であり、それがモーノポンプをお使いいただく皆さまの要求に応え、ひいては社会への貢献になると考えて、更なる高みを目指していきたいと思います。問い合わせ先(公財)滋賀県産業支援プラザ連携推進部 ものづくり支援課     077-511-1414   077-511-1418   shin@shigaplaza.or.jp 05高粘度の液体を1万分の1cc単位で高精度かつ、自在な形状で塗布・充填できる「ヘイシンモーノディスペンサーHD型」さまざまな形・素材のローターとステーター。ステーターに使われるゴムが食品などに混入しないよう、磁性体を練り込んだゴムを素材から開発し、磁力で除去できるようにした製品もある   特殊構造で       難液を移送―― これまでの歩みをお聞かせください始まりは創業者の小野恒男が1965年に欧州で一軸偏心ねじポンプと出合ったことに遡ります。兵庫県で造船関連事業に携わっていた小野は、船底に溜まる油や砂泥の混ざった水を人力で掻き出しているようすを見て、機械化の必要性を感じていました。ところが国内には優れた粘性ポンプや難液ポンプがなく、海外で見つけたのが西ドイツ(当時)のネッチェ社の製品でした。国内に競合がないことに着目した小野は1968年に神戸市長田区で兵神装備株式会社を設立し、ネッチェ社と技術援助契約を締結。1979年に合弁会社として立ち上げた兵神ネッチェ株式会社が当社の前身です。現在はヘイシンモーノポンプのコア部品であるローターやステーターの製造・開発を行っています。―― ローターやステーターとは?モーノポンプの構造は、ゴム製のステーター(2条雌ねじ)のなかに、金属製のローター(1条雄ねじ)が入っています。ローターが回転すると、ステーターとの隙間にキャビティーと呼ばれる密閉空間が形成されます。密閉空間は強い吸引力を発生しながら回転とともに次々とつくり出され、吐出口へ移動していきます。つまり、キャビティー内に充満した液体が密閉された空間ごと前へ、前へと連続移動していく仕組みになっており、この構造が難液の移送を可能にするわけです。とくに

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