当産業支援プラザがおこなっている景況調査において、現在、直面している経営上の問題点についてという質問に対しては、小売業やサービス業の方々から「需要の停滞」、「単価・料金の低下・上昇難」、「消費者・利用者ニーズの変化への対応」との回答が寄せられており、「物が売れない」や「デフレが進行している」といった話も耳にいたします。

このように中小商業者を取り巻く環境が厳しい中で、現状打破を目指した商業者による商業者のためのネットワークづくりが進められています。今回はその二事例を紹介します。
一つは、商店街を中心にTMO(まちづくり機関)の手法によって、小売商業発展の道を切り開こうとする取り組みです。TMOを核とした地元商業者による地域の活性化を促進するため、3月2日に多賀町で開催された「中心市街地活性化・TMO事例発表会」および3月15日のバス視察(TMO活動に積極的に取り組んでいる京都市伏見大手筋商店街を訪問)を紹介します。

次に、意欲ある中小商業者の情報交換および研修の場として当産業支援プラザが今年度より開催しています「商業経営研究会」についてあわせて紹介します。

中心市街地活性化・TMO事例発表会および視察交流会

梅の花がほころぶ多賀大社の境内で、3月2日、滋賀県産業プラザ主催でTM0事例発表会が開催されました。兵庫県や奈良県などの県外の参加者もあり、TMO事例に関心のある130名あまりの参加がありました。最初に夏原多賀町長および中野多賀大社宮司から歓迎の挨拶を頂戴したのち、兵庫県笹山市、出石町、京都市伏見区および地元多賀町の4つのTMO事例が発表されました。

各発表者からは、それぞれの地域の歴史から現状についての経過や地元商店街の現状、TMOの課題とそれを克服するための積極的な取り組みや提言が発表されました。

今回発表された4事例に共通する特色は、観光まちづくりとTMOによる活性化をめざした取り組みにあり、デカンショ祭りで知られる丹波篠山、出石皿そばで知られる出石、酒蔵のまち・酒のまちで知られる京都伏見、そして多賀大社のある多賀と歴史ある町並みや地域特産品、そして観光をキーワードに商業まちづくりを目指しています。

丹波黒大豆や丹波猪肉で知られる篠山の発表では、町並みや特産品が見直され、5年前から観光客数が徐々に増加基調にあるが、観光資源に頼るだけでなく、集客イベントや販売促進イベントの積極的な展開の他、「物より人を売る」戦略で地域商業者自身をアピールする提言がありました。

TMOの先行事例である出石の事例では、商店街の経営者が次々にそば屋さんに転業し成功してきたこと、伏見のTMO事例では、酒蔵をテナントとして新しいショッピングモールづくりや「十石船」の運航、「いっぷ蔵館」という休憩施設の設置などによる観光基地化の計画が発表されました。

本県事例である多賀町事例では、門前町再生のための空き店舗活用やファサードや街路灯整備をはじめ、ウォーキングステーションやそばの特産品づくりなど計画中の取り組みが報告された後、多賀門前町共栄会北川副理事長の案内で、多賀門前町の視察を行いました。

絵馬百選展、写真展に利用されているイベントギャラリー絵馬1号館では、ひな飾りが展示され、地域のアーティストが運営するギャラリー絵馬3号館「藝や」にたどり着くときには、商店街の街路灯にはうっすらと明かりが灯されていました。

また、3月15日に行われた視察交流会では、一般には公開されていないNTT西日本ソリューション・ラボを訪問し、ITの最新手法を体験したのち、伏見大手筋商店街などのTMO推進の現場を訪れ、研修及び情報収集を行いました。

 
県内商業者による滋賀県商業経営研究会とは。

滋賀県産業支援プラザが実験的に今年の1月から3月にかけて3回シリーズで開催したもので、厳しい商業環境の中、実践的で具体的な経営手法を学ぶことや後継者育成を目的に、十数名という少人数の方式で事例発表を中心に討議をするのが特徴です。
 第1回目は、惣菜専門店を経営されている有限会社豆籐の鳥居静夫社長を講師としてお迎えし、「繁盛店となるための秘訣」と題して、自店を例に具体的な経営実践のお話をお伺いしました。
 また、第2・3回目はメンバーが「自店の経営事例」を発表し、それに対する意見交換を参加者全員でおこないました。コメンテーターとして鳥居社長の他、中小企業診断士の鐘井輝氏および有限会社C3(シースリー)の田中義郎氏をお迎えし、活発な議論がおこなわれました。

第1回目の講師である鳥居社長からは、「経営というと難しく聞こえるが、つまりはやりくりである。難しい言葉を並べた理論や議論を重ねるより、具体的に考え、従業員にも出来るだけ理解しやすい形で伝えることが第一である。従業員の能力アップ、目標設定や目標達成について、指示する際は出来るだけ分かり易く、例えば、サッカーになぞらえて具体的なイメージを持たせた上で、従業員と接触することで有益なコミュニケーションが図られる。」といった事や「地域一番のお店とは、売上とか利益とかが地域一番ではなく、地域の中で惣菜を買おうと思ったときに、まず一番に思い出してもらえるお店のこと」という考えによる地域一番の店を目指し、実現しようとする目標や「売上づくりの前に、まずは自分づくりひとづくり」の方針など、現在、実践している経営手法についてお話を伺った。

なかでも、流感が大流行した時に、すぐ、のど飴を大量に仕入れて、各お店で一言そえて手渡すとタイムリーなサービスとしてお客様に好評であったという「のど飴の話」やデパートの地下に出店しているお店でも、にわか雨が降ってきたことが分かるので、一声かけてお客様にビニール袋を手渡す「にわか雨作戦」といったお客様への心配りのお話を特に興味深く聞かせていただきました。

 

☆☆研究会メンバーからの一言☆☆

当研究会に参加最年少メンバー。日野町の家具店『家具の長谷川』で、アジアン・アフリカン雑貨の部門(passage)を担当されている長谷川さんのコメント。

商業経営研究会のお話を頂いた時、参加メンバーの熱心さに、経験の浅い私などが出席させて頂いていいものかと戸惑いましたが、逆に経験の浅い今こそ何でも吸収できるチャンスではないかと思い、勇気を奮って参加しました。
 業種は違っても、鳥居社長をはじめ参加メンバーの事例発表はとても刺激的で視野が広がります。ここで学んだことを、自店で活かしていきたいと思っています。

家具の長谷川
 〒529-1643 蒲生郡日野町里口72  0748−52−2552
 http://www.hasekagu.com
  
 
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