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森
滋賀県では、近江商人の提唱した「三方よし」精神の推進運動については、長い歴史を持っている。しかし20世紀の経済活動においては、その精神のうちで「売り手よし」「買い手よし」だけに比重がかかる傾向に進んでいることに憂慮している。
このため21世紀を迎えたいま、「三方よし」のなかでももっとも重要な「世間よし」を、あらためて考え直す時期にきているのではなかろうか。この「世間よし」も含めた「三方よし」の精神について、パネラーのみなさまの実践例、提案をお聴きする。
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八木
私は、日本の伝統食品、ゆばの製造販売をしているが、顧客満足、適正利益、適正納税を経営理念の3本柱にしている。これらはまさに近江商人の「三方よし」精神と元を同じくするものだと考えている。
顧客満足については、単に満足していただくだけでなく、常に感動をも提供することで、リピーターの拡大につながるものだと信じている。また適正利益を得た結果としての適正納税も、税金を納めて終わりではなく、納めた税金が世の中のためにうまく使われているかということのチェックも、私たち納税者に課せられた、もうひとつの大きな義務ではないかとも考えている。
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米田
私は大津市生まれで、32歳で貿易会社を興したが、滋賀県人でありながら、「三方よし」の精神をつい最近まで知らなかった。当社の経営理念は、まず土地を耕し、種をまき、充分に世話をして収穫する、つまり「蒔かぬ種は生えぬ」である。
これは、私たちの扱う商品の世界各地の生産者に、できるかぎりのサポートをさせていただき、流通業者にも充分なケアと感謝をしながら、当社の社員も含めて、みんなで潤い、税金を納めることで社会還元もするという意味になる。
となると、私たちの会社の経営理念そのものが、知らず知らずのうちに「三方よし」の考え方と一致することにもなっていたのである。
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末永
近江商人研究一筋に研究を続けてきた。その結果、「三方よし」の原点は、五個荘町の中村治兵衛宗岸が70歳のときに、15歳の養子に商売の秘訣について遺した遺言であることを突き止めた。彼はその中で特に「他国行商」、有効需要のある地域に出かけて商売をすべきだと示したうえで、徹底して相手の立場を尊重すべきだ、儲かるかどうかは「天道」によるものだということを強く説いている。
彼以外の近江商人も「売って悔やめ」、売り惜しみをするな。あるいは「薄き口銭」とも言っている。つまり、儲け第一主義に陥るなということを、先達の多くの近江商人は実践し、また子孫にも伝えていたのである。
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安生
経済同友会では、以前から企業の社会的責任ということを強調してきたが、今改めて「CSR」(Corporate
Social Responsibility)ということに対する企業・経営者の関心が高まっている。
社会が変化し、グローバル化が進展する中で、企業の持続的な成長・発展を考えていくには、社会との関係で良い企業であるだけでなく、グローバルな競争に勝てる強い企業でないといけないが、CSRはその二つを両立させるための取り組みである。まだ日本企業の多くはCSRの本質を理解していないが、CSR、つまり滋賀県企業人が誇る「三方よし」の精神は、今後の企業経営では不可欠の要素になっている。
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