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昭和7年(1932年)に地元密着型の和菓子屋を創業。「良品適価」を祖父の代から商売の理念として持ち、お客様の人生と共に歩むお菓子として、地方であっても「一隅の光」として存在感のある店づくりを目指す。
有限会社とも栄菓舗
代表取締役 西沢 勝治さん

 「とも栄」は1932年に祖父が創業した和菓子屋で、私で三代目になります。祖父は京都の和菓子屋「とも栄」で修行した後、地元の安曇川に戻り駅前で店を構えました。祖父の代では餅菓子のほか駄菓子なども販売していましたが、父親の代に変わり、生菓子の専門店に変えたいという思いがあり、安曇川ではいち早くケーキなどの洋菓子も販売するようになりました。父はどちらかというと職人肌ではなく商売の方に力を入れ、当時は旧高島郡内で一番賑やかな商店街が安曇川の商店街で、そこでは洋菓子の喫茶店も併設していました。昭和53年10月に旧高島郡内で大型スーパーがオープンするということで、地元の協同組合で大型スーパーの横に地元商店の専門店を集めてショッピングセンターをオープンする計画を父親が先頭になって提案し、その年の7月に14店が集まり、通称「アスピー」がオープン。当初はコバンザメ商法でまあまあの客足でしたが、平成5年に今津にも大型スーパーがオープンしたことで、客足も減っていきました。そこで根本的にお菓子専門店として生まれ変わろうと考え、平成9年にオープンしたのが現在の「とも栄」です。

 地元に根付いた地元密着店として真のお菓子店はどうあるべきかを模索した結果、具体的には充分にお菓子屋としてアイテムを揃えられ、駐車場のある店でした。お菓子は嗜好品です。あれば生活が潤っていいけど、なくても困らない。そんな中でお菓子の良さとか、季節感とか日本人の生活に根付いた食文化というものを伝えていけるようなお店にしたいという想いがありました。大型スーパーからのお誘いもありましたが、量販店的な値段で勝負する店よりも、自分で吟味した材料を使い、自分の技術を生かした商品を出すことで、それ相応の価格を付け、自己店舗として自分の動きやすいような商売がしたいという想いが比重を占めていました。そして一番は地域性の重視です。人口の少ない地域では、一つの店でお客様の人生のあらゆるシーンに応えていける品揃えというのが必要になってきます。軽い手土産や営業、改まった贈答やお見舞用のお菓子、誕生日など、生活に根付いた品揃えで、「お菓子」と聞けば一番初めに名前が出てくる店。今の季節におすすめのものがあり、地元の方が期待感を持って来ていただけて、その期待を裏切らない、ここに来て良かったと思っていただけるお店づくりがしたいという想いが集約されたのが今の店です。

 私自身は地元の高校を卒業して京都の店で修行していましたが、23歳の時に地元に戻り、30歳で三代目を継ぎました。現在の店のオープンが私の一からの企画だったため、「店づくり=商品づくり」ということで、店のコンセプトをしっかり持ち、商品にストーリー性をつけて、必要なアイテム不必要なアイテムを吟味し、西近江の歴史と文化をお菓子に添えてみなさんに届けるという店のコンセプトに沿ってお菓子のネーミングも付け、地元密着型を重視しながら商品づくりに力を注ぎました。
 「“とも栄がこんな店を作ってくれてよかった”とお客様に言ってもらえるようなお店が作りたい」その想いは、毎日お店に立つことで、お客様のご要望に応えきれていないという強い思いから生まれました。私達の仕事は作るとこからはじめて一個一個包装して、箱詰めしてといった製造から販売までの行程のかかる仕事です。だからこそ、自分たちの思いを商品に込めることができる仕事なのです。地元の人が生まれた時から成人式、そして結婚式まで、その方の人生の節目の喜びを、「とも栄」のお菓子と共に祝福させて頂いています。地元のお客様との深いつながりがあればこそ、何とか今日まで残ってこられたのではないかと思っています。

地域の中でブランドとなるように目指していますが、「とも栄」は地域に支えられてきている店なので、弊社だけでなく地域全体がもっと活性化して良くなるということに、ここ数年は力を入れています。具体的には道の駅の企画や、アドベリーという、新種の果実の栽培・拡販の活動です。アドベリーの加工販売という段階だけでなく、栽培という第一次産業の分野から二次産業、最終的に商品にして流通させる分野の人まで、川上から川下まで一貫して何か流れるような地域ブランドとして、地域全体が元気になって雇用にまで結びつけられたらと地元メンバーで取り組んでいます。弊社においても、経営環境がもっと良くなり、将来的には地元の人の働く場として「とも栄」が選ばれるような企業を目指していくことが、地元企業の役割でもあり、それが地域貢献にもつながっていくと確信しています。また、地域ブランドアドベリーにおいては「とも栄」でもいち早く取り組み、アドベリーを使ったムースやプリン、ジェラードや焼き菓子作りに取り入れ、地域ブランド作りに尽力を注いでいます。
(※旧安曇川町の商工会が「アドベリー生産協議会」を発足し、現在は高島市全体として「ベリーフルーツの里構築事業」として地域ブランド化を目指している。)
 現在は百貨店などから催事での販売のお話しがあれば、時々出店させていただいているおかげで、大津などにも馴染みのお客さんが少しずつ増えてきていますが、「とも栄」のスタンスはあくまでも地元密着型です。店舗を増やしていつも手の届くところにあるより、時々出前出店することで、楽しみにしてもらえるような店でありたいと思っています。「一隅で光る」。この言葉が「とも栄」の商売のスタイルなのです。地方の田舎の小さな店だけれども、名店であると認められ、名前が広まっていく方向を目指しています。湖西の方に来たら必ず寄りたいという店であり、遠くのお客様に「取り寄せたい」と思って頂ける店。そういう意味で存在感を示していきたいと思っています。これからは製販一体となった強い体質の店づくりというのが不可欠です。原材料もどんどん高騰していって、その中でいい商品を適切な価格で作って販売していくことは至難の技です。祖父の言葉に「良品適価」という言葉があります。良い品をそれに相応しい価格で販売すること。そして、健康な経営状態で存続し得る、小さくても体力のある菓子店作りを目指していきます。
会社データ

有限会社とも栄菓舗

代表者/代表取締役 西沢勝治

本社/滋賀県高島市安曇川町田中43-1

   TEL.0740-32-0073 FAX.0740-32-0106
   

設立/昭和28年(1953年)

事業内容/和菓子・洋菓子製造販売

http://www.sweet-tomoe.com/about/index.html


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