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喜楽鉱業株式会社 
代表取締役 小宮山雅弘さん

 生家は『喜楽湯』という銭湯を営んでおり、私は銭湯を管理する傍ら、点検や修理に来る機械屋さんの手伝いをしたり、一緒に修理をしに工場を回ったりもしていました。私が14歳の時に父が急逝し、『喜楽湯』を継ぐことになったのです。
  風呂屋で私の担当は燃料集めでした。当時の燃料は廃材ですから、製材所などで廃材を集めるのですが、行く先々で廃材を燃料とする同業他社の方々と取りあいでした。一方で、修理の手伝いの縁もあって、修理依頼が直接くることもありました。頼まれたら断れない性格もあり、伺って修理をし、また修理後は、綺麗に後片付けをし、不要となった油(廃油)も処理にお困りでしたので、持ち帰っていました。そのうちに、喜楽湯の敷地内が廃油のドラム缶で一杯になり、これはまずいと廃油を廃材に振りかけて燃やすと火力が増し、燃料として有効利用できたのです。でも、それだけではドラム缶の山が減りません。そこで、バーナーを取り付け、燃焼効率を高める工夫もすると本当によく燃え、「喜楽湯はいつもお湯が溢れている」と評判になり、話を聞きつけた同業者から「うちにもバーナーを取り付けてほしい。廃油をゆずってほしい。」と依頼され、すぐに廃油のドラム缶はなくなり、今度は同業者の燃料を確保をするために廃油の収集を始めたわけです。そんなこともあって、廃油の処理に困っていた工場の人や、同業の人からも喜ばれるようになりました。これが、現在の油系廃棄物の処理・再生事業につながっていきました。

 廃油の無害化、再利用に向けた事業を本格的に取り組むきっかけとなった一つには、1970年(昭和45年)に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が施行されたこともあります。そこで、法律に則った処理ができるよう設備を整える為に、1973年(昭和48年)に喜楽鉱業株式会社を設立したのです。
  実は私は魚釣りが大好きで、よく琵琶湖に釣りに行ったのですが、法律が施行される前は、湖面にもよく油が浮いていたものです。廃油の処理をしようと思った背景には、釣り人として湖が汚れるのを見ておれないという気持ちもありました。
  当時、幸いにも私は仕事にある程度恵まれていたためか、20歳の頃、自分って何だろう、何のために生きるのかなあと悶々としていた時期がありました。その時“断食をすれば、身も心もさら(新)になる”と知り、思い切って断食道場に行きました。1か月ほど道場で生活するのですが、たいていの人が帰りはタクシーでした。私がたまたま車で来ていたある日、タクシーが来なくて困っていた人を送ってあげたのです。すると大変喜ばれた上に、お礼まで渡そうとされ、何度もお断りしていると、しまいには怖い顔をされたのでいただいたのですが、途端に相手の方は嬉しそうな表情をされました。その後他の人にも頼まれるようになり、予定表を作って送迎するほどになりました。そんな経験を通して「感謝の念をもって相手のことを思いやる」ことの大切さを学び、これが当社の理念となっていったのです。

 社是の「誠魂」という言葉は、断食の経験から自分で考えたものです。「感謝の念をもって相手のことを思いやる」ことを文字で表現しました。「誠」というと新撰組のイメージがありますが、本を読んで調べてみると、道義、仁義、人の道についてれっきとした理念を持っていて、敗軍になった事実はありますが、同じ「誠」をつけることにしました。
  社是を具体的に実践する手法として「社訓」を掲げています。誠を「観る」「考える」「計画する」「実行する」「反省する」の5つです。一番大事なのは、最後の「反省する」です。自分が成長するために反省するという意味があり、それをしっかり見つめることが相手のためになる。ありがとうございます、おかげさまでと、感謝の念を持つこと。そういう意味で、社是の解説として社訓があります。
  また、私は常々社員には「(法律上は労使の関係だが、)我々は労使の関係ではない、志志の関係だ」と言っています。つまり、(単に組織の上下関係でなく、)志を同じくした仲間がパートナーとしてお互いが目的を理解しあい、信頼しあえることが大切なのだと。その意味から、同志と呼んでいます。2007年(平成19年)には社員と共に『喜楽鉱業同志の経営哲学』という冊子を作り、朝礼などに皆で輪読を始めました。先日、各社員から同冊子について論文を提出してもらった中に、「自分の生きる見通しがついた」とか、「感謝の考え方がもてるようになった」というすばらしい反応がありました。輪読の効果があったことを非常に満足しています。

 実は、近江商人の「三方よし」を具体的に意識するようになったのは、1981年(昭和56年)に長野喜楽鉱業を設立した頃からなのです。当時、主要取引先のある工場に、整備の関係でよく伺っていました。出張で経費もかかるので、地元の同業者にやってもらうようにお願いしたのですが、「ぜひ喜楽で」と言われ、長野に工場を建てることになったのです。ところが、新しいお客様に挨拶回りをすると「近江商人だ、気をつけないといけない」、「近江商人が歩いた後はぺんぺん草も生えない」という悪い印象を皆さんお持ちのようでした。そこで近江商人に関する本を20冊程読んで、勉強しました。そして、近江商人にはちゃんとした理念があって、売り手と買い手の信用や信頼を大切にし、それらを含め社会全体に良いことをしようと一所懸命がんばったのが近江商人ですと、説明ができるようになったのです。そのことから「三方よし」という近江商人の家訓について関心が出てきたわけです。
  当社では「共生支援」として5年ごとに地域の自治体に寄付をしていますが、これは、「先義後利益栄 好富施其徳」という近江商人の家訓から学んで実践していることです。義理人情を第一に考えて、利益追求を後回しにすることが商売繁盛につながる。商売が繁盛して富を得るのは良い事とし、その財産に見合った徳、すなわち社会貢献をすることが重要という意味ですが、このように感謝の念をもって謙虚に「ありがとうございます」という気持ちを表すことが、社会貢献につながるものと考えています。

 今後も当社の目的は一つ、世界中の油系廃棄物は、我々同志の手で処理するというのが、私どものロマンの原点です。今の段階ではまだまだ実現まではほど遠いですが、100年、200年かけてでも実現していく、そこにロマンがあるのです。
  具体的には昨年(2007年)の暮に広島総合工場が完成し、「ゼロエミッション」の取り組みをスタートさせました。廃油を焼却する時の余熱を利用した温室を作り、そこでCO2の吸収率の高いユーカリとアカシア、ポプラの苗木を育てています。そして、自治体や様々な団体が植樹をされる時に苗木を提供したり、お客様の会社の敷地に余裕があれば植えていただいたりしています。この木は10年後には大木になるので、その時には伐採して製紙原料にし、また苗木を植え続ける。これを続けることで、地球環境保全に対して関わり続けていきたいと思っています。
  もう一つは、香川県の中間処理工場のオリーブ園です。オリーブを育ててCO2を吸収(社会全体)し、実を採って精製し、原料(買い手)として提供(売り手)するという取り組みです。このように、環境保全を含めた取り組みを行っていくことが、これからは本当の意味での「三方よし」になっていくのではないでしょうか。
会社データ

喜楽鉱業株式会社

代表者/代表取締役 小宮山 雅弘

本社/滋賀県湖南市石部口2丁目7-33

   TEL.0748-77-4689(代) FAX.0748-77-2757
   

設立/昭和48年(1973年)

事業内容/産業廃棄物収集運搬、産業廃棄物中間処理業

http://www.kiraku-k.com/


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