売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし - 近江商人から現代にまで受け継がれる三方よしの理念
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本当に正しいものを正しい買い方をし、正しい料理法をするということをモットーに牛の生産から関わる。お客様のためにと思ってしたことが会社に返って来ていることを仕事の中で掴み、そうした三方よしの理念を若き担い手達にも伝授しようと日々努力している。
ティーアールエージャパン株式会社 
代表取締役 徳島 りつ子さん

 ティーアールエージャパン株式会社(以下「TRAジャパン」)の前身は京都にあり、1980年から5年間夫婦で食肉の販売をしていました。その間に牛を売るのであれば、牛を飼うところから勉強したいという気持が高まり、1985年に「徳志満」として滋賀でゼロからスタートしました。私たちはルーツが分からないものを売ることに疑問を感じていました。そこで、「徳志満」にしかない牛肉を作るため、専用牧場で専門家に牛を飼ってもらい、販売できるまで大きく育てて売るといった生産に関わるところから始めました。1988年にはカタログ販売を始め、営業部門を作り、全国の百貨店などに営業で回り顧客を全国に広めて行きました。しかし店舗販売ではお客さんの反応を直ぐに見極めることができません。作り手の目の前で「おいしかった・まずかった」という反応を聞きながら自分たちが肉の味を修正したいというのもあり、1990年にレストランとして「とくしま」をオープンしました。

その後、1995年に営業部門を独立して設立した会社が「TRAジャパン」です。レトルトや缶のカレーの開発を行い、メーカーとしてスーパー量販流通ルートにおいての販売にも力を入れました。また2003年には「安心安全なものに執着して手間暇かけて美味しいものを作る」といった精神を形に表したレストラン「黒釜」をオープン。店名でもある「黒釜」、おくどさんで時間をかけて焚いたご飯をお客様に提供しています。「TRAジャパン」ではこうしたお肉中心の加工商品の企画や、レストランのプロデュースをしています。ただのお肉屋さんでレストランに肉を納めるのではなくて、レストランの方、売っていただく人たちのプラスになるようなノウハウを提供させていただいています。またフードコーディネーターの資格も大いに活かし、少しでも営業先のレストラン関係に対して知恵を絞って協力していきたいと思っています。

三方よしの理念は、仕事の中で培っていくものであるような気がしています。例えば、レストラン「黒釜」の店内には地元のアーティストの絵や陶器などの作品を多く展示しています。作家さんの作品発表の場と言えばギャラリーになるのですが、ギャラリーでは期間が決まっており、お金もかかります。ましてや展示日以外は倉庫に眠ったままといった状態です。それなら毎日お店に来られる人に見てもらえるだけでも作品が生きるのではないかということで作家さんにお話しして展示して頂きました。当初は地元の作家さん達の作品を多くの人に見せてあげたいと相手のことを考えてやったことが、お客さんにも喜んで頂き、結局店のためになっていました。相手のことを一生懸命考えることで、いろんなヒントが出てきたり知恵が絞られてきたり、気がつけばその人たちに応援されていました。人のためにと思ってすれば自分に返って来ていることを後で気がつく。そういう仕組み、法則みたいなものが三方よしには含まれているのだと思います。個人的にはNPO法人三方よし研究所に所属して三方よしの理念を学びながら、そこでの考え方をスタッフたちに伝授していこうと日々努力しています。

牛肉をお取引いただいているレストランやスーパーやまたは消費者に向けてのサービスで、お肉の品質の見分け方ということで講習に回っています。本当に正しいものを正しい買い方をし、正しい料理法をするということが根本にあります。今、プロの調理師さん達も素材に対してすごく知識を欲しがっています。例えば、ロースを使わなくても違う部位に変え、質のいい牛を使うことによって卸のコストダウンを図ることができます。どういう牛で、何処地産ということがわかっていれば、形が悪くてもお客さんにとっては、質的にはレベルの高いものを安く提供できます。ですから一ヶ月ほど調理師さんをお預かりして肉の解体から講習し、いろんな部位の使い方や、こういうエサを食べているので生で食べても大丈夫ですとか、形の悪いところでもきれいに見せることが技術だという講義をしています。そういう知恵を皆さんに提供することで売り手側も買う側にとってもお互いがプラスにつながると確信しています。

今後は三方よしの理念を持って仕事に生き甲斐を感じる社員を輩出していく部門を本格的に作っていきたいと思っています。世の中に対してどういう役割を持っているのかを自覚し、自分の考え方をしっかり持ち、自信を持って世の中に出ていける調理師さんを養成することも経営者としての責務だと思っています。そのために社員には責務論文を提出してもらっています。社員がお客さんに対してこういうことで貢献したいとか、この仕事を通じて自分はこうありたいということを書いてもらうためのもので、経営者とのコミュニケーションの手段にもなっています。つまり、社員のスキルを上げるために経営者が準備することを探るための論文です。この人はこういう能力に長けているので、その能力を上げていこうということに対して、研修に行かせたり、開発のポジションを作ったりしています。調理師の仕事は料理を作るだけではありません。技術の開発をすること、大きな作業をまとめること、人を育てることも調理師の仕事です。どういうポストを与えれば社員がやり甲斐を持って仕事ができるのかを考えながら、社員のスキルアップの向上に努めているのです。この会社は社員のため、世の中のためにあるということを考えれば、やらないといけないことが多くあります。自分自身まだまだ未熟です。多くの諸先輩方に学びながら、人を育成できる会社になることを目標に邁進していきます。
会社データ

ティーアールエージャパン株式会社

代表者/代表取締役 徳島 りつ子

本社/滋賀県湖南市菩提寺1529-55

   TEL.0748-74-4013 FAX.0748-74-3152
   

設立/平成7年(1995年)

事業内容/食肉生産販売、企画製造販売、コンサルティング

http://www.kurogama.com/tra/


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