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「削り出すのはもったいない!」を合言葉に、材料の無駄がない鍛造方式で、徹底的な営業強化と品質管理で急成長。39歳という若さで三代目社長に就任後、“人”を大事にする経営で、人材育成や福利厚生も充実させて、地元の雇用安定に力を注ぐ。
株式会社ミヤジマ 
代表取締役 宮嶋誠一郎さん

 1956年(昭和31年)祖父が「宮嶋式弁棒鍛造所」を創業。当時、彦根の地場産業である水道バルブの「弁棒」を独自の鍛造工法で造ることを初代宮嶋源次が考案したのが始まりです。バルブ弁棒は、各社の規格がバラバラで専用金型を一つずつ造らなければなりませんでした。“金型を一個ずつ作るのはもったいない!”と、1954年(昭和29年)に祖父が標準金型を多数揃え、積み木方式で組み合わせる「宮嶋式弁棒鍛造装置」で製法特許を取得。父が実用化し業績を伸ばしました。しかし、創業約30年経った1989年(平成元年)に会社に戻ると、社員の高齢化と累積赤字による債務超過という厳しい現実が待っていました。私はそれまで勤務していた愛知県のトヨタ系の会社で身につけた「絶対あきらめない執念」で営業から仕入れ、ものづくりまでこなし、バルブ弁棒99.9%から一般機械部品へと展開を図り、工作機械や建設機械、農業機械、印刷機械、繊維機械など他業種のニッチな販路を開拓しました。今では、鉄道車両部品や建築物のアンカーボルト、化学繊維を超高速で巻き取る軸、世界の鉱山で活躍するブルドーザの部品など、目には見えないが人命に関わる大事な分野でミヤジマのシャフトが生きています。

 父は20代の私を会社の代表として自由に外に出してくれました。それがきっかけで大手同業者の社長さんにも可愛がってもらい、経営の考え方を学んだ事が原動力になりました。1993年(平成5年)社名を「株式会社ミヤジマ」に変更し、作業服も明るいデザインに一新。いち早く週40時間制を取り入れて、若い人が入社するようになりました。2002年(平成14年)に39歳で社長に就任。それまで、営業・仕入れなど何もかも一人でしょいこんでいたので、社員の長所を生かす経営に切り替え売り上げアップに成功しました。IT化推進により、皆が使える生産管理システムの見直しで2005年(平成17年)に「関西IT企業百撰」優秀賞受賞。生産管理の効率アップおよび経営の「見える化」を図るとともに、CーTPM活動(全社的生産保全)に取り組み、一人当たりの生産性向上につなげました。HPのリニューアルでは、1万数千社が登録する製造業データベースサイト開催の「エミダスホームページ大賞」でグランプリを受賞。コラム「誠一郎の哲学」では毎月1回自分なりの経営哲学を紹介し、わかりやすい・親しみやすいデザインで全国の顧客の拡大にもつながりました。1989年(平成元年)売上高1億3千万円から2007年度(平成18年度)8億6千5百万円へ、従業員は2.5倍に成長しました。

 「三方よし」なくては会社を続けられません。企業の社会的責任は納税と雇用です。地域への還元で一番大切なのは地元の方を雇用し、よい生活をしてもらうことだと思います。社員が苦しんでいるのに、表向きの社会貢献ばかりをするのは全く間違いです。「社員よし」にするためには、社員全員が採算意識を持ち、不良を絶対許さない気持ちを全員で共有しなくてはなりません。そうすると、自分に対すると同じように社員に対しても厳しさが出てきて、一体感が生まれてくる。「もったいない」という意識を一人ひとりがもち、きちんと利益をあげられる会社になれば、社員にも、お客様にも還元できる。社員の働きやすい職場づくりや安全・品質向上のために改善制度に取り組み、そのための投資は惜しみません。その結果、自分では考えつかないようなすばらしい提案も出てくるようになりました。私もこの業界に入って19年経ちました。今年46歳になりますが、業界には20代〜30代の跡継ぎが増えているので、これまで私が教わってきたことを少しずつでも伝えることができたら、こんなに幸せなことはないと思っています。

  2007年(平成19年)には環境省推奨の「エコアクション21」を認証取得し、環境問題に取り組んでいます。しかし、昨年9月9日の重油事故で近隣の方に大変なご迷惑をかけてしまいました。幸い被害は最小限に押さえられ大事には至りませんでしたが、一歩間違ったら会社がつぶれるくらいの事故でした。その教訓を生かして、油の管理方法を改善、マニュアル化し、非常用のマットや緊急連絡網も整備しました。実際、現場に目が向いていなかった自分に気づかされた出来事でした。その反省から、私自身が現場で「ウェス1本運動」を始めました。朝礼の後、ウェス一本もって機械の汚れを拭いて回るように心がけています。現場を回ると、油漏れや不明品、危険個所などいろいろな問題が見えてきます。社長業は外を見るのも大事だが、同時に社内をよく見ておかないといけないということを再確認しました。地域とのつながりについては、2006年(平成18年)の創立50周年の際に、記念事業として地元多賀中学校で女子バレーボール金メダリストの中野真理子さんの講演会を開催。男子バレーボールが二年連続で県大会優勝を果たしたそうで大変喜んでいます。「継続は力なり」で昨年も滋賀ダイハツ販売(株)の後藤敬一社長に講演をお願いしましたが、今後も続けていきたいと思っています。
 会社の要は(1)お客様(仕事)、(2)人財、(3)設備(技術)の3つです。人財では、とくに教育や福利厚生に力を注いでいます。他社で、やりがいアップにつながるような社員教育があればすぐに取り入れます。会社成長のカギは会社の発展と社員の幸福のベクトルの向きをあわせること。「人」が最も大切であり、社員は大事にすればするほどがんばってくれる。鍛造はきつい・暑い・危険な仕事であるからこそ「鍛造がいかに社会に役立っているか。人の命を預かる大事な仕事か」を社内報で伝えています。平均年齢36.6歳ですが、中には70歳前後の方もおられます。熟練の職人の技を大切にし、40代〜50代の方でも働きやすい環境を整えています。社員とコミュニケーションを図るため、毎月その月生まれの人を集めて食事をする「お誕生会」を行っています。元気に生んでくれた親に感謝する意味の「親孝行手当」や退職金に上乗せできる「がん保険」への加入なども進めています。今後もお客様を大事にして、品質・コスト・納期を追求して体質強化を図ります。設備では2台の大型鍛造機導入で生産性向上を図り、鍛造生産量500トンを当面の目標に“シャフト鍛造で日本一“を目指します。
会社データ

株式会社ミヤジマ

代表者/代表取締役 宮嶋誠一郎

本社/滋賀県犬上郡多賀町多賀1008番地

   TEL.0749-48-0571 FAX.0749-48-1478
   

設立/昭和31年(1956年)

事業内容/各種シャフト形状部品のアプセット鍛造および各種金属熱処理加工

http://www.miyajima-jp.com/


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