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創業は昭和30年(1955年)。琵琶湖の水に恵まれた立地条件だけに、環境に配慮し環境対策の多額の投資でも「利は後からついてくる」。「盛和塾」に学ぶ「利他」、すなわち「三方よし」の経営を実践。
大津板紙株式会社 
代表取締役社長 宮崎君武さん 


  大津板紙の前身は、大正7年に地元の商工会議所が集まって「琵琶湖の水と近江米の稲藁を利用し何か地場産業を興そう」ということで、できたものです。当時は藁を原料として、板のような厚い紙を作っていたそうです。その後、経営母体もめまぐるしく変わって、昭和30年に現在の大津板紙となりました。だから、工場の一部には古い建物が残っているんです。
 今でこそ製紙業は、リサイクルの優等生であり、環境にやさしい産業ですが、高度成長時代には公害問題も大きなテーマでした。では、公害を出さないようにするにはどうしたらよいか考え、業界で一番先にリサイクル100%にしたのが大津板紙です。リサイクルするとどうしても表面がきれいになりませんし、古紙を何度かリサイクルしていくうち、どうしても繊維が弱くなってしまいます。そこで繊維が強くて長いアメリカからの古紙を表に使うことで両方の問題をクリアしました。現在、ヨーロッパではパッケージに使うのは100%古紙でなければならない国もあるので、大手メーカーも輸出製品の箱に大津板紙の段ボールを使ってくださっています。

 大津板紙では、大きく2段階の環境対策の設備投資を行いました。昭和50年の「超深層曝気式排水処理設備(デープシャフト)」と昭和70年代の「天然ガスコージェネレーション(熱電供給)システム」です。昭和50年代は、全国的に公害が問題になっていて、切羽詰ってのことでした。「デープシャフト」は、琵琶湖の水をきれいにして返そうというもので地下100メートルまで循環させ1日2万トンの水をきれいにしています。現在でも世界最大級の水浄化システムです。しかし70年代は、もっと環境のためによくしようということで入れたものです。工場で使う発電のためのエネルギーを重油から天然ガスに切り替えることで、CO2の排出量を3分の1に、硫黄酸化物を0に削減しました。こちらは誰にもやれと言われないでやりました。

 環境によいからやる、と一言で言いますが、実際設備投資には数億円かかるわけです。それをなんでやるのかなと考えてみても、「京都議定書があるから」とぼんやり考えていました。でも、最後の決め手になったのは、稲盛さんの一言なんです。
 稲盛さんに滋賀県に来ていただいたとき、船で琵琶湖クルーズに出かけました。そのとき、大津の町並みの中に私の工場の煙突が見えました。「あれが私の会社の煙突です」。当時公害対策もしていて、煙には少しだけ黄色い色がついている程度でしたから少々誇らしげに言いました。すると稲盛さんは「真っ白だといいね」とおっしゃいました。それから、「よし、やろう」と思いましたね。今では煙ではなく蒸気ですから、真っ白です。
  稲盛さんと出会ったのは、経営理念を学ぶ「盛和塾」を通してです。平和堂の夏原平和さんと2人で会員を集め、滋賀県にも「盛和塾」の支部を作りました。現在は80名くらい会員がいます。稲盛さんは評論家とは違って自で京セラを作りあげた方なので、どんなことでも教えてくれます。ひざを突き合わせて勉強するんですよ。
  稲盛さんのおっしゃる「利他」とは、本当に「三方よし」の考え方に通じています。経営者は毎日常に判断をしなければなりません。その判断をする基準が「世のため人のためになることかどうか」を第一義に考えるべきなのです。そうすることによって、利は後からついてきます。
 実際、CO2削減のためにと導入した天然ガス燃料でしたが、切り替え直後に原油価格が高騰し思わぬ利となって返ってきたのです。これこそ「利は後からついてくる」、そして「三方よし」だと実感しましたね。

  ISO14001の取得は2000年から7年目になります。また、(社)日本プラントインテンス協会が推進しているTPM (全員参加の経営管理) 活動にも16年取り組んできました。その間に2004年度の第1類(大企業部門)で優秀賞を受けるなど3回受賞しました。この一環として提案制度を実施し社長賞10万円からヒント賞200円まで設けています。現在の提案は月に50件以上出ています。こういう制度で自分たちの職場を見直すこと自体が大切だと思っています。また、資格取得者を優遇する制度もあり、これらは「社員満足」のために実施しています。ほかに、秘密文書を箱に入れたまま溶かし、リサイクルするシステムも一般企業や官公庁から喜ばれています。シュレッダーにより裁断し焼却処分するとダイオキシンやCO2が発生する可能性が高いですから。
お客様、環境、社員、会社、「すべてよし」の経営をこれからもめざしていきたいですね。
会社データ

大津板紙株式会社

代表者/取締役社長 宮崎君武

本社/滋賀県大津市馬場3丁目10-1

   TEL.077-522-4171 FAX. 077-522-5687
   

設立/昭和30年(1955年)

事業内容/段ボール原紙製造・販売

http://www.otsu-itagami.co.jp/


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