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創業は大正12年(1923年)、近江商人と同じように「私がこの時期を受け持っている」という意識で目先の利益にとらわれない経営をめざす有限会社豆藤。いち早く生ゴミ処理施設を設置し、環境問題にも取り組む。
有限会社豆藤
代表取締役 鳥居静夫さん 


 豆藤は私で三代目になります。父は大八車で煮豆と昆布巻きの行商をしていました。昭和48年(1973)年に、大津市内に第一号の店舗を出して惣菜の販売を始めました。
  自分の仕事がうまくゆくためには、気配りがポイント。それは近江商人も同じだったと思います。目先の利益、その瞬間だけよければいいということではないと思われます。「私はこの時代を受け持っているだけ」という気持ちです。「自分のときだけうまくいったらいいわ」というのだったら、気配りどころではなく、とても次の代につながりません。






  惣菜の味付けは、最初は祖母、それから母、現在は妻が担当しています。おかずを作る基本的な考え方は、家庭で作るときは、こう作るのではないかと思って作っています。いま、お弁当屋さんの多くは組み立てることが仕事になっています。卵焼きや煮物を袋から出して、詰め合わせるだけで出来上がりです。しかし豆藤のお弁当と惣菜は、調味料も作り方もできるだけ家庭と同じにして、なるべく一から作ろうとしています。
  また、滋賀はもちろん京都・神戸・大阪の店に出している商品の配送も、なるべくできたてのものを運んだほうがお客様に喜んでいただけるから、と一日3回送っています。
  朝5時から夕方まで、私自身も工場でお惣菜作り、お弁当作りをしていますから、ある程度規模の拡大は可能です。でも次の世代につながるかどうか。売っている惣菜は、愛情と誠意で料理を作るお母さんにはかないません。時間コストを考えないで子どもや家族のために調理するのですからまるでプロの職人さんです。ただ、コストを考えず手間隙かけて納得ゆくものを作るような職人さんは減ってきています。お母さんも同じですね。それにものづくりに携わる人が減ってきています。今、うちで一緒に仕事している人たちが引退した後はどうなるのだろうか、と考えます。
 平成5年、大津市相模町に全惣菜を一手に作る工場として大津サポートセンターを開設するにあたり、市街地での生ゴミ処理をどうするかという問題に直面しました。よそよりも大津市は環境に対するハードルが高いです。世界的な基準を考えるとそれも当然だと思います。業者に引き取りに来てもらうのですが、お休みがあると夏などはすぐに匂います。厨房器具のメーカーに当たって、醗酵処理する設備機械を探し出し設置することにしました。当時このような生ゴミ処理に対する行政の意識もまだほとんど無い状態でしたので、自前で設置するしかありませんでした。一次醗酵させた生ゴミ堆肥は、30日かけて土にかえす必要があり、現在は農協や有機農業をしている農家の方や希望者に引き取ってもらっています。
  ゴミ処理の機械も手でしなければならないメンテナンスもありますから、結構大変ですよ。私も手を二の腕くらいまでゴミに入れて、掃除します。まずは自分が率先しなければ、みんなイヤなことですから、やってくれませんよ。
  豆藤では障害を持っている人を現在2人受け入れています。自分の子どもが一人手が離れたら、障害を持つ方を一人受け入れる、という考え方です。障害を持っているのは自分の意思ではありませんから、誰もが同じように社会で働けるのが当たり前でしょう。しかし、サポートする人が必要になります。実際問題コストアップの遠因です。でも、さまざまな人にそれぞれ特徴や働き方があるのに一律に労働時間を制限してしまったら、どうなるんでしょうね。どうも、格差社会といって、才能のある人に都合がよい仕組みになりつつある気がします。また、寄付金活動は企業としてではなく個人として、ささやかながら先々代から続けていることです。広報活動する代わり、という気持ちもあって結局は自分のためにやっているんですけどね。
 大津市というのは、小規模企業には場所的に人材確保が難しい土地かもしれません。京都・山科からは来てくれませんし、草津・守山には大企業がある。どうやったら豆藤で働いてくれる人材を集められるのか。そこで私が40代の頃は協働者(従業員)の満足、お客様の満足、取引先の満足(お支払いを早める)、地域社会の満足(個人的な寄付)、これら4つをあわせて「満足創造」をはじめました。その後はお客様がにっこり笑ってくださるという意味の「笑顔の創造」です。肩に力を入れてやってきた時代もありました。現在は「営々黙々(えいえいもくもく)、唯々黙々(ただただもくもく)、唯々天知(ただただてんしる)」と考えています。これからも、ただただ、です。
会社データ

有限会社豆藤

代表者/代表取締役 鳥居 静夫

本社/滋賀県大津市中央2-4-14

   TEL. 077-522-3288 FAX. 077-510-3588
   

設立/昭和44年(1969年)

事業内容/業種 惣菜製造・販売


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