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気窓端子の組立・加工から照明器具の製造という「もの作り」に携わる企業として、自社の得意分野を活かし、「社会への貢献」「地域経済への密着化」「環境問題への適切な対応」をふまえた新しいビジネスを構想し、HEFL照明を使った「第4世代の農業」を提案する。
ツジコー株式会社
代表取締役 辻昭久 


 昭和38年、段ボール会社に勤務していた父が創業。大企業の協力会社として、気窓端子の組立・加工を行い、地元の豊富な木材を利用して、木工の照明器具のセード(傘)の製作など、照明器具を手がけるようになり、大手照明器具メーカーとの取り引きによって事業を拡大しました。時代の流れとともに、和室向きの木製セードの需要も減り、照明器具自体も安い輸入品に押され気味です。以後、この照明機器の製造技術を活かした新しい製品の開発を試みてきましたが、数年前から、新しい光源である高機能蛍光放電管の加工、検査を手がけています。そして、近年問題となっている「食の安全性」に注目し、「強いQCD(品質、コスト、納期)のものづくり力」をベースに、高機能蛍光放電管を用いた「植物育成用照明装置」を考案。省エネルギーで天候に左右されず、農薬を一切使わず、鮮度も長い安全野菜を、安定した価格で提供できる「新しい農業システム」を企画・開発しました。平成18年夏から、当社の「植物工場」で育った野菜をテスト販売し始めています。


 コンピューターメーカー勤務を経て、私が当社に入ったのは12年前です。照明器具業界は、規制緩和に伴い安価な中国や台湾製にシェアを奪われて厳しい状況です。何か新しいことができないだろうかと、カラフルなセードを開発したり、電飾造花を製作したりと、照明機器の製造技術をもってできるものをいろいろ考案しました。そんな中で、着手したのが、省エネルギー・高光効率・長寿命・細いという高機能蛍光放電管「HEFL(ハイブリッド電極蛍光ランプ)照明」を利用した独自の照明装置の開発です。平成16年、照明学会誌に掲載された、「LED(発光ダイオード)の植物育成分野への応用」という論文から照明で野菜が育つことを知り、照明器具と違ってモデルチェンジのない野菜ならば、価格勝負だけでもビジネスとして長く続けられるのではないかと思いました。コストや技術面からビジネスラインにのる事例は少なかったのですが、発熱が小さいHEFL照明ならできると確信し、簡易な野菜の人工栽培装置を作って実験を始めました。
  平成17年、(財)滋賀県産業支援プラザが開催した事業可能性評価委員会「めききしが」でAランク評価を受けたことから、新しいビジネスの夢が広がっていきました。
  地方の中小企業として、新しいビジネスを考えるには、「社会への貢献」「地域経済への密着化」「環境問題への適切な対応」「もの作り企業としての継続」が基本姿勢です。製造業には、人、建屋の資源があるので、これらを有効利用したビジネスが前提です。開発していた高機能蛍光放電管は、大型液晶テレビに利用される省電力型のバックライトに使われている技術を改良した細い蛍光ランプで、植物育成に必要な3波長(RGB)の波長特性が強く、高輝度、高効率、長寿命、軽量で、既存の照明よりも電気コスト、ランニングコスト、投資コストなどが大幅に削減できます。また、従来の照明に比べて発熱が少ないので、野菜の高さギリギリまで照明を近づけることができ、狭い場所でも高い収穫が期待できます。日野工場のクリーンルーム内での水耕栽培は、HEFL照明の人工光を照射し、厳密な衛生管理のもと、農薬を一切使用せずに栽培できます。去年の夏からスーパーでテスト販売を開始。畑ではなく工場で育った野菜というのに抵抗を感じるかもわかりませんが、無農薬で洗わなくても食べられ、栄養価は高く、鮮度も長持ちということで消費者の関心は高いようです。昨年4月に子会社として「日本アドバンストアグリ」を設立。ゆくゆくは野菜作りだけでなく、栽培システムそのものをも販売できればと考えています。
 「三方よし」を特別意識してるわけではありませんが、自分の利益だけを考えると事業を長く続けることは不可能だと思っています。社業を継いで、色々な方に出会ったことが経営者としての方向を決められました。 「京セラ」創業者である稲盛名誉会長(盛和塾塾長)のお話を聞く機会があり、「会社は社員のためにあり、経営者は社員のために何ができるのかを考えなければならない。自分の利益を優先するのではなく、他人の利益を考えて、社会のために働くことが大切」という言葉に深く感銘を受けました。社会に貢献できる企業(認められる企業)でなければ、自社の利益もないということです。
毎日食べる食材のトレーサビリティ(生産履歴)が注目され、「生産者の顔が見える農業」が、実現化され始めています。温暖化現象が原因と言われる異常気象、食に関する安全問題などが懸念される時代にあって、当社の開発した装置を利用すれば、安全で安価、安定した供給という野菜作りが可能で、砂漠でも野菜が収穫できるようになるでしょう。この開発がビジネスとして成功するだけでなく、環境問題の対策の一つとなることをも願っています。社会に貢献できる企業になること。それが当社の最終的な目標です。
  社会情勢が変わっていくなかで、健全な企業体質の構築と維持していくことは難しいです。まず「お客様から尊敬される企業」にならなくてはいけない。そのためには、社員のモチベーションを高めることが必要です。毎月「ツジコーニュース」を発行しているのですが、自社の経営理念、経営姿勢を社員全員に知ってもらうだけでなく、「自分たちがお客さまに何ができるのか」、「こうしよう」という創意工夫を持つことが大切だと思っています。経営が厳しい状況も何度かありましたが、ワークシェアリングで乗り切ってきました。平成15年には障害者雇用の優良事業所として厚生労働大臣表彰を頂き、健常者も障害者も共に働きやすい職場を追求しています。経営とは社員がどれだけ誇りと希望をもって働いてくれるかです。自社開発した農業用照明技術の応用、さらには太陽光との併用も念頭に入れ、ハウス内での有機栽培向けの照明器具開発も考えています。また大学との産学連携によって、より環境にやさしい肥料を使い、栄養価の高い野菜の安定供給をも目指して行きます。
 今後もお客様のため、社員のため、そして社会に役立つ会社であり続けるために、絶えず「感謝」の気持ちで、謙虚に努力を惜しまないつもりです。
会社データ

ツジコー株式会社

代表者/代表取締役 辻昭久

本社/滋賀県甲賀市水口町北脇1750-1

   TEL.0748-62-2233(代)  FAX.0748-62-6537
   

設立/昭和40年(1965年)

事業内容/照明器具の企画・製造・販売
電子部品の組立・加工・試験・検査
プリント基板の実装・リワーク
バックライト部品の加工・検査
新しい照明に関するアプリケーション開発
http://www.tsujiko.com/


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