売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし - 近江商人から現代にまで受け継がれる三方よしの理念
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7年前、空き缶やペットボトル、牛乳パック、廃食油の回収をスタート。2年前、自社でのバイオディーゼルの精製を開始。GSをエコロジーステーションに位置付けたユニークな発想で、地域密着型の環境旋風を起こしている。
油藤商事株式会社
代表取締役 青山金吾さん 

 7年前、セルフ給油が解禁されたのを契機に、従来型のフルサービスのガソリンスタンド(以下GS)の構造改革が叫ばれるなか、サービス業の中では環境負荷の高い業種という自省から、空き缶回収の取り組みをスタート。お客さんの反響は大きく、牛乳パックやペットボトル、乾電池、廃バッテリーなどあらゆる資源ゴミの回収ステーションに辿り着きました。「通常、行政の空き缶回収は月2回なので、出し忘れたら、翌々週まで家に置いておかなければなりません。GSなら365日、いつでも好きなときに出せるんです」。口コミで拡がり、1ヶ月4500人来店の1割ぐらいの方が空き缶等を持って来られます。人の目がある場所なのでマナーもよく、アルミ缶・スチール缶の分別は当たり前で、ペットボトルのカバーをはずす方もおられます。
 資源回収のついでにガソリンも…と3、4年前から販売促進効果が現れ業績が伸びてきたんです。顧客満足度(CS)が非常に高く、燃料を入れさせて頂いて、逆にお客さんからお礼を言ってもらえる程です。アルミ缶は地元の小学校を通じて業者に引き取ってもらい、野球のバットや体育備品と交換してもらう、地域から出た資源が地域に還元される資源循環型モデルの一つになっています。


油藤商事株式会社
専務取締役 青山裕史さん 
 創業者の青山藤八は15歳の時(1897)、天秤棒でカンテラ油の行商から始めたんです。初めて世に出たディーゼルエンジンは、ピーナツオイルの精製油を使用したという話を聞いた時、専務の祐史が原点に返ってバイオディーゼル(植物油)を商いにしようと思い立ちました。バイオディーゼルとは、菜種油やひまわり油、大豆油、コーン油などの廃てんぷら油を原油としてエタノールでエステル化しグリセリンを分離除去し、動粘度を軽油の2倍程度まで下げた液体燃料です。
 1980年にびわこ条例が制定され、家庭の主婦はこぞって台所用洗剤を無リンや石けんに切り替えたにも関らず、GS業界では相変わらず合成洗剤を使っていたんです。そこで、滋賀県環境生協に廃食油を引き取ってもらうことから始めました。廃食油の回収は、灯油配送時に集めたり、給油のついでにガソリンスタンドに持ってきてもらったり、既存のルートに乗せられるので、GSは回収の拠点としてもってこいでした。「菜の花プロジェクト」の一員として名乗りを上げ、集めた廃食油を液体石けんに加工し、エコ洗車にも取組みました。2002年、念願だった廃食油を再資源化したバイオディーゼルの一般販売を開始。翌年、精製プラントを導入し、自社での燃料化に踏み切りました。
 豊郷町は近江商人の故郷です。「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神は資源回収ステーションにも生きています。まず、空き缶など資源回収は、コストや労力の負担になりません。スタッフは普段から油類に触りなれているので廃油を取り扱うことが苦痛にならないし、空き缶や乾電池などは給油時にお客様が持って来られるので、仕事量はさほど増えません。廃タイヤや廃バッテリーの回収は自社の既存ルートを活用するので、新たなルート開拓や処理業者を探す負担にならない活動で、来店促進つながる「売り手よし」です。お客さんにとっては回収日にかかわらず、ゴミを出したりリサイクルに協力でき、また、行政の回収ルートでは存在しない廃タイヤや廃バッテリーなども低費用で処理してくれるので、消費者にとって負担が軽くすむ「買い手よし」。資源の回収と有効利用が進んで行政の負担するコストが削減できれば「世間よし」。こうして、「三方よし」で地域が無理なく資源循環型社会に導くことができます。「誰にも負担をかけない」「困らない」活動が、持続可能な社会のキーワードになると確信しています。
 バイオディーゼルの一番のメリットは、軽油と使い勝手が同じで、一般の軽油車に改造なしで給油できることです。しかも、軽油より有害物質の含有量が少なく、SOxがほとんど出ません。軽油税の関係でバイオディーゼルの割合を2割・軽油8割の混合燃料を使用することにより、CO2が16%削減できることが実証されました。
 2005年2月の京都議定書発効が追い風となって、供給が追いつかずフル稼働の状況です。値段的には、1リットル80円と軽油より高めですが、エコ物流をPRしたステッカーを車に貼って走れば、依頼主に対しても環境に配慮した輸送が販促効果を生みます。若干のコストアップはイメージ戦略や地球温暖化防止対策費と考えればおつりが来ると、物流部門など産業界には引く手多数です。一般販売へのハードルとして、いろいろな手続きやメンテナンスをクリアしなければなりません。その点は、リスクコミュニケーションでしっかり理解を得ながら、実績を積み重ねているところです。現在、町内の老人施設の訪問介護車やデイサービス送迎車、訪問入浴車などに定期給油しているほか、堅田と守山を結ぶエコバスなどにもご利用いただいています。湖南にもニーズがあるため、瀬田のGSでも一般販売を開始。工場の社員食堂で回収した廃油から精製したものを配送用トラックで走らせるといったユニークなプロジェクトも誕生しています。
 「環境」を切り口にしたスロービジネスでは、一定のシステムの構築を成し終えたと自負しています。毎週、全国から同業者や研究機関、行政などの視察がありますので、ノウハウを全て公開し一箇所でも多く「スロービジネス」に取組んでいただけたらと思っています。全国にGSが五万三千箇所、滋賀県内で四百箇所あります。もし、GSをエコロジステーションとしての社会貢献をビジネスモデルとして展開できれば、持続可能な社会を実現することも夢ではありません。環境先進国ドイツでは、バイオディーゼルの供給スタンドが千五百箇所整備されています。
 我が社は、グローバルにビジネスを展開するのでなく、あくまでローカルに拘り続けていきます。ゆくゆくは、家庭内コージェネレーションシステムの時代が到来するでしょう。各家庭と回収専門業者の中継拠点(エコロジーステーション)として地域貢献に邁進しつつ、今後は防災拠点としてのエネルギー供給ステーション、さらには脱石油時代を見据えた、燃料電池・ガス・バイオマスなどの総合エネルギー供給ステーションへと将来像を描いています。
 一連の環境に配慮した社会貢献活動で第1回日本環境経営大賞環境フロンティア部門地域交流賞(2003年)第2回企業フィランソロピー大賞特別賞地域エコロジー賞(2004年)ほか多数受賞。
会社データ

油藤 株式会社 (平成17年3月取材)

代表者/代表取締役社長 青山 金吾

本社/滋賀県犬上郡豊郷町高野瀬645

   TEL.0749-35-2081 FAX.0749-35-2083
   

創業/明治30年(1897年)

事業内容/ガソリンスタンド経営・バイオディーゼル販売給油所・LPガス販売・上下水道公認指定店・各種設備工事店

http://www.aburatou.co.jp/


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