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「21世紀は環境の時代」といちはやく産業廃棄物のリサイクル商品開発に取り組んできた田中建材株式会社。「困っているから何とかしよう」という思いから「三方よし」を実践している。
田中建材株式会社
代表取締役 田中喜久次さん 

 田中建材は父の代にダンプ1台から始めた会社で、本業は建設業と解体業です。家屋の解体を数多く手がけてきましたが、廃材は焼却処分していました。ところが平成14年5月に建設リサイクル法が完全実施されることになり、焼却処分することが法的にできなくなることがわかったため、リサイクルを考えざるを得なくなったのです。焼却炉の導入も考えましたが、市場のわりには高額になり、いつまでも採算のとれない投資をしなければならなくなる。またリサイクルは時代の要請でもありましたので、木の廃材を再利用する方法を模索し始めました。
 最初に考えたのは、木をの廃材をチップ化して公園の草おさえに使われる敷藁の代わりに使ってもらうこと。そして公園用チップ材「ハーモニーチップ」を開発しました。またパーティクルボード(木材のチップを合成樹脂で固めて再構成した板材)の材料として製造元へ納入することも考えました。それで、循環していた時期もあったのですが、だんだん市場が飽和状態になってきて、いくらいいものを作っても使ってもらえない。そこで、何か新しい利用法はないものかと7,8年前から研究開発に取り組むようになりました。


 環境面に特化したのは2001年から。先代社長の父から私に世代交代したのですが、そのときに「21世紀は環境の時代になる。環境分野で地域一番を目指そう」と考え、ISO14001を取得。リサイクル製品の開発に本格的に取り組み始めました。昭和40年代に建てられた住宅が建て替えの時期にきていることから、解体に伴う廃棄物はますます増えてくるものと考えられます。その量は、2010年には1995年の4倍にのぼると推定されています。
 この大量の廃棄物を吸収する方法として、堆肥としての利用を考えました。そこでできたのが発酵堆肥「ハーモニーバーク」。これは、樹木の皮や椎茸の廃木、除草により発生した草木と家屋解体により発生した木質廃材を原料にした堆肥です。またこれを活用し、法面を緑化するために崖地などに吹き付けて使うことができる法面緑化基盤材「ハーモニーソイル」を開発しました。さらに「R・ハーモニーバーク」「R・ハーモニーソイル」も開発しましたが、こちらは100%廃材を使用したものとしては国内初の製造販売許可を受けています。
 もう一つ、木質リサイクルの形として考えたのが、アスファルト舗装材です。大手道路メーカーに「アスファルト舗装材として使えないか」と相談したところ、「過去にやってみたが、できなかった」という答えが返ってきました。これはチャンスだと思い、ドイツから輸入した機械を独自に改良して開発をスタートしました。
 従来、木質アスファルトは樹脂を使って固められていたのですが、この方法では非常にコストが高いため、経済性の面で問題でした。また樹脂は紫外線に弱く、ホルモン攪乱物質が発生する可能性があるため、環境面でも安全とは言い切れない部分があった。そこで、私たちは加熱したアスファルトを使って練り上げることができないか考えました。アスファルトは加熱しないと溶けませんが、逆に木は加熱すると燃えてしまう。燃えないように加熱して柔らかくしていくというところが特殊なんです。こうしてできあがったのが「ハーモニーロードウッド」です。こういった建材というものは、公共工事を対象にしていますので、まず官庁に認めてもらえないとなかなか利用が広まりません。今は、それを克服するのに苦労しているところです。
 
 今研究しているのは「炭」ですね。炭はたくさんの商品が出回っていますし、付加価値の高い活性炭や備長炭などが特によく研究されていますが、私たちは農業排水の浄化に炭が使えないかということで、研究を始めました。農業排水に含まれる残留農薬や栄養分が琵琶湖に流れ込んで、富栄養化の原因の一つになっています。そこで、田んぼごとに炭を入れた浄化槽を作り、栄養分や農薬を炭に吸着させて、それをもう一度田んぼに戻してはどうかと考えました。炭は一度物質を吸着するとなかなか離れないんですが、これを離れやすく、分解しやすいという炭を開発しているんです。これは、龍谷大学と共同で研究しています。
 いろいろとアイデアを持っていると言われますが、私たちは「困っているから何とかしよう」という思いがまずあるんですね。「困る」のは自社はもちろんですが、もっと広い目で見て社会全体に広がる廃棄物問題、水質汚染問題に対してみんなが「困る」から何とかしようと、そのように考えています。
 私どもの会社は社員20人程度と規模の小さい会社ですが、社会貢献にも力を入れています。滋賀県の「淡海エコフォスター制度」に賛同して、地域の清掃活動に取り組んでいます。「淡海エコフォスター制度」は公共的な場所を企業や団体が責任を持って美化するというもので、県や市町村の合意に基づいて、継続的に一定の場所をボランティアで美化清掃します。4年前から取り組みをスタートしたのですが、そのきっかけとなったのは従業員からの声でした。従業員の中でも、環境問題に感心のある人が多いんです。月1回、仕事が始まる1時間前にでてきて、道路の清掃活動をしています。逆に、こういうボランティア精神がないと、とても環境問題には取り組むことができないと思います。近江商人の経営理念「三方よし」のなかでもとくに「世間よし」の精神ですね。廃棄物の量は今後ますます増えていく一方で、市場はほとんどないに等しい。不法投棄しなさいと言っているようなものです。そこで犠牲になるのは都会ではなく地方。特に東北は不法投棄がひどいと聞いています。そんな中で、解体業を手がける私たちが率先してリサイクルをすることで、廃棄物処理業のイメージを変えていきたいですね。
会社データ

田中建材 株式会社 (平成17年3月取材)

代表者/代表取締役 田中 喜久次

本社/滋賀県高島市今津町今津1677-14

   TEL.0740-22-0217 FAX.0740-22-1349
   

創業/昭和35年(1960年)

事業内容/建設:土木(特定)、建築(特定)、舗装、解体、建機リース

     環境:産業廃棄物収集運搬、リサイクル、再生骨材製造販売、緑化資材製造販売
     

http://www.tanakakenzai.co.jp/


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