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第3セクター「黒壁」は“作る・見せる・体験する”という複合的な事業展開と、 「ガラス」にこだわり、作家やオリジナル作品の発信、本場のガラス工芸品の紹介な ど“本物のガラス文化を追求”したことで集客し、長浜に30億円の経済効果を生んだ。
株式会社黒壁
代表取締役 高橋政之さん 

 (株)黒壁の1号館は、明治時代に第百三十銀行長浜支店として建築され、その外壁が黒漆喰の様相から『黒壁』の愛称で親しまれていました。建物の使用者はその後変わり、昭和29年からは長浜キリスト教会となっていました。昭和62年、その教会の移転により売却解体されるということから、その保存を望む声が高まり、中心市街地活性化の拠点としての活用を目的に、地元民間企業の有志と長浜市の支援を受け、昭和63年4月、3分の1は市が負担、3分の2を民間企業9社が負担するという、第3セクターの「株式会社黒壁」が設立されました。
 郊外型大型店舗の進出で、中心商店街の沈滞と低迷は深刻な悩みであり、商店街の活性化の起爆剤とならないといけないし、伝統地場産業にとらわれない、既存民業を圧迫することのない、長浜から全国へ、情報発信できるようなものをと事業を模索しました。結果、歴史性、文化芸術性、国際性の理念を内在する『ガラス』に着目し、本物のガラス文化の追及とそれを事業化することによって国内初のガラスの本場の創成を目指しました。このガラスをバックボーンに、現在では年間217万人(平成15年度)の来街者を、街をあげて迎えています。黒壁はガラスショップ、工房、ギャラリー、ガラス美術館、レストランなど10館(長浜市内)を直営。グループ館として黒壁まちづくりに参画する20館と共に、街の求心力を高め、理念の拡大と充実が『ガラス工芸とまちづくりを融合させて総合文化サービス業』を創生させています。


 長浜市は、豊臣秀吉が城下町をひらき、楽市楽座により町衆を軸とした経済的繁栄を遂げた、歴史のある街です。かつては県内で一番活気があると言われた長浜の商店街も、70年代からの相次ぐ大型店の郊外進出に圧され、廃業を余儀なくする店舗が出始め活気が失われていました。そこへ追い討ちをかけるように、北国街道と大手門通りとの交差点に建つ街のシンボル『黒壁』の解体話です。長浜という街は、曳山祭りもそうですが、市民が創りあげた街。長浜城の再建なども市民の浄財によるところが大きいのです。だから、長い間街のシンボルとして親しまれてきた「黒壁」の解体話に、「何とかこの建物を残すことは出来ないだろうか」という市民運動が興り、さらには「商店街活性化の拠点にしよう」というように盛り上がっていったのです。
 ところが、建物の保存は決まったものの、「商店街街活性」に向けたビジョンがなかなか決まりませんでした。役員会が終わったあと、全員で黒壁の前に1時間ほど立っていた。その間、そこを通過したのは、なんと「4人と犬1匹」。こんな人の通らない商店街の再生が本当にできるのだろうかと、大きな不安を抱いたのでした。1.歴史性、2.文化芸術性、3.国際性の3つのテーマを決め、ようやく、これを満たす事業展開を模索、きっかけは、初代社長、長谷定男氏の「ガラスでもやってみたらどうや」の一言でした。当時、国内大手ガラスメーカーを除いては、多くが、個人作家活動の域もしくは土産物の域を出ていなかったことから、「ガラス」に着目したのです。長浜とはなんの関係もないからこそ、地元の商店街や企業を圧迫することもなく、住み分けられる事業でした。こうして“ガラス工芸を軸としたまちづくり”に向け、1ヶ月に及ぶ欧州視察や国内ガラス産地の動向を検証しながら「ガラス館構想」が動き出し、平成元年7月、黒壁の建物は黒壁スクエアの核である「黒壁ガラス館」として生まれ変わったのでした。
 平成元年に黒壁ガラス館、ガラス工房、レストランの3館でオープンして以来、時代も追い風となって、多くの観光客が長浜を訪れてくれました。何より、女性を中心としたリピーターが多いということがうれしいですね。当初は私たちも、周囲の商店街のみなさんも、疑心案義だったと思います。そんなに簡単に町おこしができるとは考えていませんでした。でも長浜は、やはり庶民の街なのです。自分たちが何とかしたいと考えますから、商店街みなさんの意識も変化していきました。まち全体の活性化を図ろうと、空き店舗80軒を含め180店舗が黒壁プロデュースのもとリニューアルされ、随時新しい施設が生まれています。平成8年の「豊臣秀吉博覧会」では、約1000人の市民ボランティアが参加しましたが、その時に集まったシルバー世代が中心となって様々な事業を運営する「プラチナプラザ」が開設され、博覧会の事務局となった旧商家は「まちづくり役場」として、まちづくり活動の拠点となっています。また、市民が自由に参加できる「感響フリーマーケットガーデン」などもあり、この街を訪れる人たちに常に、新鮮さと感動を与え続けています。
 来街者の回遊範囲もますます広がり、平成13年度、ついには年間200万人を突破するほどの街となったのです。経済効果は約30億円と試算されていますが、お客様に喜んでいただいてまた人を呼び、それで利益を生む、これはまさしく「三方よし」の地域への貢献ではないでしょうか。現在、南北軸である北国街道と東西軸である大手門通り周辺をメインに、ギャラリーやショップ、喫茶やレストランなど、黒壁は28号館まででき、他に、長浜オルゴール堂や協力店があります。周辺には曳山博物館や大通寺があり、新しい観光ルートになっています。
 全国のどこにでもあるような地方都市の長浜ですが、商店街を活性化させた、町おこしに成功した街として、多くの方が視察に来られます。テレビや雑誌などで取り上げていただいたことが大きいのですが、やはり400年続いた長浜の歴史と、長浜仏壇に代表されるような「ものづくり」の文化が残っていること、それと、自分の街のためなら負担も惜しまないという地域性があることが、長浜の大きな力だと思います。それだけに、地元のみなさんへの貢献を忘れてはいけないと思っています。それは、経済効果だけでなく、文化を発信し継承することです。たとえば、黒壁ガラス館(1号館)から少し北にいったところにある黒壁ガラス博物館(10号館)は、古代から現代までのヨーロッパのガラス芸術作品約100点を常設展示するほか、テーマごとの特別展示もおこなっています。古い商家に並ぶガラスの工芸品は、黒壁のスタッフが海外へ出向いて購入してきたもの。歴史と伝統に培われていた技術と品質、尽きることのない最高の美を追究し”光の芸術品”となるガラスの魅力を味わっていただける博物館です。長浜の街で、この芸術品にふれることができるので、ぜひ、地元の子どもたちに来てもらいたいと思っています。また、現在、15人のガラス作家がいて、日々、新しい作品作りをめざしています。ガラスには、工房で体験もしていただけますが、「吹き」(吹きガラス)「グラビール」(ガラスに彫刻する)「フィージング」(素材の違うガラスを載せて焼く)「ステンド」(金属の枠にガラスをはめ込む)などの種類があるのですが、それぞれ違う技術を持った作家が集まっています。それぞれをコラボレートすることで、長浜らしいオリジナルのガラス製品を作り出しています。新作ガラス展などで作品の発表もしていますが、これが黒壁のガラスの強みだと思いますね。
 地域に貢献して、ひいては滋賀の経済・観光に好影響をもたらすのが、第3セクター黒壁の使命だと思っています。現在に満足せず、長浜全体をさらに活性させるのはどうすればよいかを考えていかなければいけません。平成8年にグループ協議会が生まれ、31店舗で使える5%の金券、「パスポート」を作りました。長浜オルゴール館は、商店街の中にあるかつてのスーパーマーケットの建物ですが、この奥に、大人も子どもも楽しめるようなフィギアの展示コーナーを作る計画もあります。長浜へ行けば、今度はどんなものができているだろうと、みなさんに思っていただきたいですね。
会社データ

株式会社 黒壁 (平成17年3月取材)

代表者/代表取締役社長 高橋 政之

本社/滋賀県長浜市元浜町12番38号

   TEL.0749-65-2330 FAX.0749-65-2333

創業/昭和63年(1988年)
事業内容 1. 国内ガラス工芸品の展示販売
  2. 海外アートガラス輸入、蒐集、展示販売
  3. ガラス工房運営、オリジナルガラス制作販売
  4. 食堂喫茶の運営
  5. ガラス文化に関する調査研究、教育普及、イベントの企画運営
  6. まちづくり文化に関する情報、資料収集、提供
  7. 国際交流に関する業務(関連会社バイリンガルジャパン)
  8. 旅行業
    http://www.kurokabe.co.jp


三方よし理念実践企業紹介
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株式会社山久
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株式会社スポーツショップキムラ
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有限会社ブルーベリーフィールズ紀伊國屋
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