
「西川」の創業は1566年(永禄9年)に遡り、今年で438周年を迎えます。第14世西川甚五郎氏の提唱で平成5年4月に西川家発祥の地である近江八幡に設立された財団法人西川文化財団は、文化事業に対する助成を通して「三方よし」を実践。西川家に受け継がれる家訓には、これからの時代に必要なものが示されています。
|
 |
「西川」の初代は弱冠19歳で、まだ戦国時代の余燼がくすぶる頃から、蚊帳や畳表を販売する家業を起こし、能登の国をはじめ、美濃の国、尾張の国、並びに三州・遠州の各地に商域を延ばし、元和元年(1615年)、ついに江戸日本橋の橋の袂に出店して活躍しました。2代目は、お客様に喜んでもらえる蚊帳を作りたいと念じて『萌黄の蚊帳』を考案し、3代目は日本で一番早かったといわれる『算用帳(勘定目録帳)』を寛文7年7月に制定し、5・6代目は時の徳川幕府が奨励した「弓道」に使用される弓の生産と販売に永年の苦心を重ね、ついに9代目が幕府の認可を得て、日本全国唯一の「弓」御用商人に任せられました。
当初は一商人の行商によってスタートした西川家ではありましたが、江戸・日本橋に出展後も次々と長期にわたって支店を増やし、中でも「蚊帳卸商」として「生産」「流通」「販売」網を繰り広げ、今でいう「マーケティング」を形成しました。

「共栄」の実現は人間性の尊重を基本とした人間関係の中で、「誠実」「親切」を通してのみ実現できるものとする、社是。 |
いつの時代を見ても常に時代の流れに順応し、新しいジャンルへ挑戦を続け、お客様のご期待に応えながら成長を続けてきました。歴代の当主は、忙しい商売の傍らで、常に社会情勢に注目し、何が起こっても柔軟な姿勢で対処してきました。その根底には代々西川家に伝わる経営理念があり、そのたゆまぬ継承こそが438年続いている秘密だといえそうです。
|
|
|
 |
| 現存する「文化4年(1807年)勘定目録帳」の末尾に記載された「定」によると、次のようなことが記されており、当時から店内教育として従業員に徹底していたことが伺えます。 |
| ◇ |
徳川幕府の出した禁令は、その事柄の内容を良く理解し、決して過ちを起こしてはならない。そして仮にもその禁令を侵そうとする者が出た時は、必ずその過ちを食い止めなければならない。また同様に、店で決めた「定」や業界の仲間で決めた「取り決め」等があれば、それも皆が協力し合って守っていかなければならない。 |
| ◇ |
いちばん大切な事は、店員が店の中で睦まじく仲良く、そして仕事には厳しく怠けることなく、一生懸命に精を出して業務に励むことである。すなわち、皆が同じ店の仲間であることを充分意識し、全員が力を合わせて理想的な「麗しい店」を作り出す努力が最も大切である。 |
| ◇ |
商いの事は普段が大事で、いつも売る品物をよく調べて、安い値段で販売し、それを手広く売り尽くす労力を惜しんではならない。たとえ、品物が不足がちになった時でも、決してお客様の足元を見透かしたような高い値段で品物を売ろうとしてはならない。そもそも商人たる者は、何事においてもすべて世の中の人々に害をもたらすような事は、たとえどんな事情があったとしても絶対にしてはならない。 |
 |
|
|
 |
互いにコミュニケーションをとりながら、社員が与えられた仕事に対して全力投球するということ、そしてお客様を大切にする、世間の害になるようなことは一切してはいけないということ、こうした何百年も前に定められた西川家の家訓は今も受け継がれていますが、これからの時代にも必要だと思います。
企業の社会的責任として、「ルールを徹底して守るコンプライアンス」という当たり前の事が、いま非常に大切な時代になってきたのだと思います。
結論として思うことは、どうして近江商人が成功したのかといえば、このコンプライアンスの実践力となったバックボーンの存在があった事を見逃しては、三方よしの精神も生かされなかったであろうことを力説したいと思います。
これからの経済発展こそが、21世紀における日本の唯一の「生きる道」だと意識したならば、それがすなわち今の日本人のバックボーンとなるのです。一人でも多くの人にこの近江商人の心の『真髄』を理解していただきたいと念じております。
|
|
|
 |
近江商人について、及ばずながら改めて研究をする中で感じるのは、「三方よし」には、とにかくお客様の立場に立って商売をしなさいという根本的な原理が大きな柱として立てられています。近江の国にはたくさんの近江商人が出ましたが、すべてがこの共通した理念を持っていたことがわかり感銘を受けています。
「日本の資本主義は近江商人から始まった」と数年前に「堺屋太一氏」が喝破されたように、我が国の戦国時代のあとを受けた当時の近江商人の苦労がやがて実を結び、三方よしの理念が明らかになりました。こうした近江商人の努力や、成功するまでの背景を知って商いの原点に返れば、21世紀の日本がどういう方向で、どのように頑張っていくべきかがきっと見えてくるはずです。
|
|
|
| データ |
西川産業株式会社 (平成16年3月取材)
代表取締役会長/西川
甚五郎
関連会社/西川リビング株式会社(大阪) 株式会社 京都西川(京都) 株式会社 西川(東京)
株式会社 西川(大阪) 昭和西川 株式会社(東京) 西川テックス株式会社(滋賀)
日本橋西川ビル 株式会社(東京) 西川レベックス株式会社(栃木) 西川サービス株式会社(東京)
西川ビジネスサービス株式会社(東京) 西川ベッド製造株式会社(栃木) 西川協保 株式会社(東京)
株式会社 東京西川コーポレーション(東京)
財団法人 西川文化財団
理事長/西川
甚五郎
事務局長/中澤儀一郎
顧問/田中良三 滋賀県近江八幡市大杉町17 西川甚五郎本店内
TEL&FAX 0748-32-2909 創設/平成5年(1993年)
事業内容/西川家の古文書保存・研究と学術研究に対する史料提供、
芸術・文化活動への助成、県内小中学校への助成
|
|
|