しがぎんアジア月報(2018年11月号)

<目次>

  1. 2大交通インフラ開通とベイエリア構想(香港支店便り)
  2. 中国のゴミの分類(上海駐在員事務所便り)
  3. 市場急拡大のeスポーツ(バンコク駐在員事務所便り)
  4. 為替市場動向

2大交通インフラ開通とベイエリア構想(香港支店便り)

香港-深セン-広州を結ぶ高速鉄道「広深港高鉄」が9月23日、営業運転を開始した。その前日の22日には香港側のターミナル駅である西九龍駅で開通式典が行われ、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官らが出席。中国本土の高速鉄道網とつながることで、香港のより一層の発展に期待を示した。

各種報道によると、初日の鉄道利用者数は延べ約7万5,000人となり、深セン-香港間の運営に当たる香港鉄道会社MTRの見通しである1日当たり約8万人を下回る低調な滑り出しとなった。しかし、10月1日~7日の国慶節(中国の建国記念日)連休中は、多くの旅行者が中国本土各地から高速鉄道で香港を訪れ、多くの便で乗車券の売り切れが発生するなど混雑した。香港政府入境事務部門の統計によると、連休6日目までに本土から香港を訪れた旅客は延べ138万人と前年同期比で23%増加したが、うち21万人超(全体の約15%)が高速鉄道を使って香港を訪れた旅客だった。

ただ、先行きには課題も多い。香港から深セン福田駅までは15分、広州南駅までは最短47分と移動時間は従来から大幅に短縮されたが、広州南駅は市街地から20キロメートル以上離れているため、タクシーで移動する必要がある。一方で従来からの在来線は香港から広州東駅まで約2時間かかるが、広州東駅は市内の中心部にあり、立地条件が優れている。今後は、広州到着後の交通網整備が望まれるところである。

一方、香港と広東省珠海・マカオを結ぶ海上橋「港珠澳大橋」も10月24日に開通した。これまで珠江によって香港と隔てられていた広東省の仏山市や中山市、珠海市といった珠江デルタ地域の西部エリアでは、橋の開通により香港への陸路での輸送距離が一気に縮まり、輸送コストも2~3割程度の削減が見込まれる。

広東省9市と香港、マカオにまたがる地域では、域内の一体的な発展を目指す経済戦略「大湾区構想」が進められている。相次ぐ広域インフラの開通を受け、面積56千平方メートル、人口7千万人、GDP1兆5千億米ドルを抱える域内が、一大ベイエリアとして巨大な地域経済圏となることが期待されるとともに、域内拠点としての香港の重要性も再認識する必要があるだろう。

(香港支店 前川)

香港の観光客推の画像とショッピングモールの買い物客の写真
<深セン北駅に停車中の高速鉄道>      <鉄道車内は明るく清潔感がある>

中国のゴミの分類(上海駐在員事務所便り)

わずか20年前の中国では、ゴミの分別は全く行われていなかった。ゴミを捨てる場所に困ったある外国人が、帰国のタイミングで捨てる場所に困った乾電池をスーツケース一杯に詰めて帰国したという笑い話があるほど、当時の中国には市民の意識はもちろん、ゴミを廃棄する場所もなかった。

一定の経済成長が進んだ2000年代に入ると、政府もこの問題に目を向け、北京・上海を含む全国8都市がゴミの分類についての試行都市に選ばれ、ゴミの分類収集が始まった。日本では当然に行われていることだが、種類別のゴミ箱が設置され、市民はゴミの分類に取り組み始めた。しかし、市民が分類したゴミがいつまでもゴミ捨て場に放置されたり、分別されたゴミを全て混ぜて運搬したりした影響もあり、市民のゴミの分類への意識は一向に向上せず、政府のゴミ分類の試みは失敗に終わった。

中国のゴミの分類は国の存続に迫る喫緊の問題である。都市部で1年あたり排出される生活ゴミは1.5億トンにのぼり、毎年約10%の勢いで増加している。全国都市の生活ゴミ現存分は70億トン、広さで表すと約550平方キロメートルにもなる。全国668の都市のうち省都などの都市を除く、実に過半数の都市が生活ゴミで溢れかえり、新たなゴミ集積場さえ確保できない状態である。

そこで、ようやく中国政府は本腰を入れてゴミの分類に取り組み始めた。2017年に「生活ゴミの分類制度実施方案」を公表。北京・上海などの直轄市を含む46の都市を「ゴミを強制的に分類する都市」と指定し、2020年までに生活ゴミの回収率35%を達成するという目標を掲げた。ゴミを「湿垃圾」(生ゴミ)、「可回収垃圾」(資源ゴミ)、「有害垃圾」(電池類、ペンキなどの環境汚染物)、「幹垃圾」(前述3種類以外のゴミ)の4種類に分類して捨てることになった。

上海市では、ゴミの分類を市内の一部地域から始め、徐々に市内全体に広げる計画である。ゴミの分類の実施は隣国の日本の教育や習慣を習い、幼稚園や小学校で子供たちにゴミの分類について教え、その意識を子供から親、親から家庭へと浸透させようとしている。加えて、各メディアを通してゴミを分類することの重要性を市民に周知させ、住宅区でのゴミ捨て時間の定刻化、ゴミ捨て場への監視カメラ設置などを行っている。

講師の川島 泰介氏氏の顔写真
【住宅区のゴミ箱。4種類で上にゴミ種類、
 下に具体例を明示している】
また、分類して捨てた資源ゴミにポイントを付与し、貯まったポイントで商品に交換できるインセンティブ制度も導入されている。

政府としては、運搬トラックを増やし、運搬時の分類化も徹底、回収・リサイクル業者等に対しゴミの分類意識の醸成に取り組んでいる。ゴミの分類を13億人の中国人に対し浸透させることは長い道程かもしれないが、今回の取り組みが成功することを切に願っている。

(上海駐在員事務所 倪)

市場急拡大のeスポーツ(バンコク駐在員事務所便り)

最近日本でも注目されつつあるeスポーツ。eスポーツとはElectronic sportsの略称であり、電子上で行われる競技の全てを指す。PC上のゲームや家庭用ゲーム、スマホモバイルアプリゲームなどゲームで競技できるもの全てが該当する。2018年8月にインドネシアにて開催されたアジア競技大会ではデモンストレーション競技の一つとして、初めてeスポーツが採用され、サッカーゲーム「ウイニングイレブン2018部門」では日本代表がeスポーツの国際大会の中で初めて金メダルを獲得(銀メダル:イラン、銅メダル:ベトナム)したことは記憶に新しい。2022年に中国杭州で開催されるアジア競技大会では公式種目となることが決定しており、将来的にはオリンピックの公式種目となる可能性も秘めているスポーツだ。

一般財団法人日本eスポーツ連合の発表では、世界のeスポーツの市場は2017年に15億USD(約1,650億円)、2018年は16億USD(1,760億円)に拡大し、2022年には23億USD(約2,530億円)まで増加する見通しだ。国別・地域別の割合では北アメリカが37%、次いで中国が15%、韓国が7%となっており、日本での浸透はこれからである。その日本においては、2019年からeスポーツのプロリーグ(Zリーグ)を開催することが決定しており、競技人口、ファンの増加を狙っている。

東南アジアにおいても、特にタイでの市場規模は100億バーツ(約340億円)となっており、市場成長率は年12%前後を維持するなど急成長している市場である。2018年7月に米国で開催されたeスポーツ大会では1位韓国、2位タイ、3位台湾・中国となり、市場規模で見劣っているタイの健闘ぶりが伺える。

タイの複合映画館大手シネプレックスグループはeスポーツ市場の拡大をにらみ、10月9日にバンコク市内の映画館施設を活用した「シネマ競技場」を大型商業施設エスプラネード・ラチャダーの映画館内にオープンした。eスポーツの競技用に映画館を改装した世界初の事例である。

講師の川島 泰介氏氏の顔写真
<東南アジアで盛り上がるeスポーツイベントの様子>

市場規模の急拡大により、eスポーツ専用ウェアを開発するメーカー、専用の家具を開発するメーカー、eスポーツ関連投資ファンドを組成する証券会社が出てくるなど、新たなビジネスチャンスとしてeスポーツ市場に参入する企業が増えている。新規事業として参入する魅力がある市場の一つではないだろうか。

(バンコク駐在員事務所 田中)

為替市場動向

<チャート>
為替市場動向の画像
<先月の動き>

10月のドル/円相場は113円台後半で取引を開始。月央には111円台まで円高が進行し、下旬に一時111円40銭を下回った。月末にかけては反発し113円近辺で引けた。


月初は、好調な米経済指標やパウエル米FRB議長の景気に対する前向きな発言を受け、一時114円半ばまで円安が進行するも、その後はイタリア財政への警戒感や世界的な株安などから円が買われる展開となった。


中旬は、株式市場の持ち直しやムニューシン米財務長官の為替条項導入に関する発言など強弱の材料が入り混じるなか、112円台で方向感の出にくい展開となった。


下旬は、米中貿易摩擦への警戒感が高まり、株安につられ一時111円半ばまで円高が進行した。その後はトランプ米大統領の中国に対する強硬姿勢軟化を受け、ドル/円相場は反発。結局、113円近辺まで値を戻して越月した。

(市場国際部 木下)

※このレポートは、参考資料としてのみ作成しております。売買に関する最終判断はお客様ご自身でなさいますようお願い申し上げます。

  • 滋賀県よろず支援拠点
  • 滋賀ものづくり経営改善センター事業
  • しがウェルネスファーム
  • 【プラザ情報誌】うちでのこづち
  • 滋賀県企業情報検索市場
  • [新しいウィンドウが開きます]ビジネスカフェ あきんどひろば
  • ミラサポ
  • 滋賀県大津市企業情報ビジネスマッチングサイト

イベント/セミナーカレンダー

2019年2月
日曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
2019年1月27日 2019年1月28日 2019年1月29日 2019年1月30日

カテゴリー: GeneralWeb活用実践ワークショップ(Webマーケティング編)~Web活用で成功へ導く実践勉強会~

Web活用実践ワークショップ(Webマーケティング編)~Web活用で成功へ導く実践勉強会~
2019年1月31日 2019年2月1日

カテゴリー: General公的資金制度説明会

公的資金制度説明会
2019年2月2日
2019年2月3日 2019年2月4日

カテゴリー: Generalデザインを創る、「コンセプター」を育てる。 まいばらデザインスクール(全3回)

デザインを創る、「コンセプター」を育てる。 まいばらデザインスクール(全3回)
2019年2月5日 2019年2月6日 2019年2月7日

カテゴリー: General第15回(平成30年度 第2回)マッチングフォーラム

第15回(平成30年度 第2回)マッチングフォーラム
2019年2月8日 2019年2月9日
2019年2月10日 2019年2月11日 2019年2月12日 2019年2月13日 2019年2月14日

カテゴリー: Generalビシネスカフェ 3分間プレゼンテーションaround湖南@今プラス

ビシネスカフェ 3分間プレゼンテーションaround湖南@今プラス

カテゴリー: General近畿・四国合同広域商談会【受注企業の募集をします!】

近畿・四国合同広域商談会【受注企業の募集をします!】
2019年2月15日

カテゴリー: General近畿・四国合同広域商談会【受注企業の募集をします!】

近畿・四国合同広域商談会【受注企業の募集をします!】
2019年2月16日
2019年2月17日 2019年2月18日

カテゴリー: Generalデザインを創る、「コンセプター」を育てる。 まいばらデザインスクール(全3回)

デザインを創る、「コンセプター」を育てる。 まいばらデザインスクール(全3回)
2019年2月19日 2019年2月20日 2019年2月21日

カテゴリー: General【 2/21(木)開催】元気な会社にはワケがある ~取材で見つけた「あいうえお経営」~

【 2/21(木)開催】元気な会社にはワケがある ~取材で見つけた「あいうえお経営」~

カテゴリー: General元気な会社にはワケがある ~取材で見つけた「あいうえお経営」~

元気な会社にはワケがある ~取材で見つけた「あいうえお経営」~
2019年2月22日 2019年2月23日
2019年2月24日 2019年2月25日 2019年2月26日

カテゴリー: General「日EU・EPAや TPP11等 自由貿易協定の基礎知識と原産地証明の具体的手続き」

「日EU・EPAや TPP11等 自由貿易協定の基礎知識と原産地証明の具体的手続き」

カテゴリー: General第20回(平成30年度 第2回) しが医工連携ものづくりネットワーク会議

第20回(平成30年度 第2回) しが医工連携ものづくりネットワーク会議
2019年2月27日 2019年2月28日 2019年3月1日 2019年3月2日
=イベント開催日(クリックしていただくとイベントをご覧いただけます)
ページトップへ