しがぎんアジア月報(2018年3月号)

<目次>

  1. 広深港高速鉄道(香港支店便り)

  2. 中国のAI(人工知能)産業(上海駐在員事務所便り)

  3. 第11回 日タイビジネス商談会開催(バンコク駐在員事務所便り)

広深港高速鉄道

香港の西九龍から中国広東省の深センを経由し、広州までの全長142kmをつなぐ高速鉄道「広深港高速鉄道」は、2018年第3四半期の開通に向け、着々と工事が進められている。

広深港高速鉄道が完成すれば、西九龍駅から深センの福田駅までの所要時間は僅か15分となり、今まで香港の紅?(ホンハム)から深センまで在来線で約50分かかっていた移動時間が大幅に短縮される。また、西九龍駅から広州南駅の所要時間も48分と、出発地と到着地がそれぞれ異なるものの、現在(紅?駅から広州東駅まで約2時間)の半分以下となる。さらには、香港から中国各地への長距離列車の運行も予定されており、北京や上海まで8~10時間程度で移動できるとして期待されている。また、新しく開業する西九龍駅は、香港国際空港までの直通列車が停車する九龍駅と直結する予定であり、将来的には香港と珠江デルタの経済・インフラ面でのさらなる一体化が見込まれる。

気になる運賃は1月15日に決定し、香港-深セン間が80香港ドル(約1,080円)、香港-広州間が260香港ドル(約3,500円)と発表された。また、香港政府と中国鉄道総公司は1月30日、覚書に調印し、開通後は香港-深セン-広州間で1日127往復を運行する方針を明らかにした。

一方で、香港と中国間の出入境審査手続きを巡っては、中国側の出入境管理施設が香港・西九龍駅に設置されることについて、香港内で懸念する声が広がっている。入管施設を通常の鉄道と同様に香港と深センの境界に置くと、旅客は列車を一旦降りて手続きを行わなければならない。時間的なロスを避け、客の利便性を高めることが狙いとされているが、西九龍駅には中国人職員が勤務し、さらに同駅の一部や香港を走る車両内で中国本土の法律が適用されるため中国当局は香港域内でも身柄の拘束などの警察権を行使できる。中国への返還後も香港の高度な自治を保障する「一国二制度」が損なわれるとして、多くの香港市民が不安を抱えていることから、開業後の運営が大いに注目される。

運賃と所要時間の比較の表と工事中の西九龍駅写真

(香港支店 前川)


中国のAI(人工知能)産業

近年、1960年代、80年代に続き、「第3次AIブーム」と呼ばれる時代が到来し、中国はAIの開発に最も力を注いでいる国の一つである。その市場規模はアメリカに次いで世界2位を誇る。

中国がAI開発に強みを持つ理由は、7.5憶人超のインターネットユーザーを有するため、研究に必要な膨大なデータを収集することができるからだ。昨年、中国政府は2030年までの「長期発展計画」、2020年までの「三年行動計画」をそれぞれ発表。長期発展計画では、2030年までに「理論・技術・応用すべての分野で世界トップレベルに引き上げ、中国を世界で主要なAIイノベーションセンターにする」とし、関連産業を含めた市場規模を11兆元(約187兆円)にするという目標を設定している。

政府の動向に呼応するかのように、中国大手IT企業のAI活用の取組みも目覚ましい。ソーシャルネットワーキングサービスを提供するテンセントは、AI医学画像実験室を設立し医療分野へ進出。AIの活用により、現在では10%と低位な早期食道がんの検出率を90%まで飛躍させることができるとしている。Eコマース企業のアリババは、「スマートシティ」と呼ばれる監視カメラやSNSデータ、交通情報などのビッグデータを活用した都市管理システムを構想しており、実現すれば渋滞予測や行政サービス、行方不明者の発見などにまで活用できるという。大手検索サイトを運営する百度(バイドゥ)は、自動運転の開発連合「アポロ計画」を始動。AIを利用した自動運転制御ソフトを公開することで、参画企業それぞれがプラットフォームを利用して開発を行える環境を提供しており、フォード、ダイムラー、インテルなどの約50社が参画し2020年末までに完全自動運転化を目指している。

中国では既にAIを活用した融資、チャットロボ、顔認証システムや、AI教師というものまで実用化されつつあり、その勢いは止まることを知らない。

成長著しい中国のAI産業が今後もどのように発展を遂げていくのか注目していきたい。

表:次世代人工知能産業の発展促進に関する三年行動計

(市場国際部 上海研修生 南部)


第11 回 日タイビジネス商談会開

今回で第11回目となる「日タイビジネス商談会」が2018年2月22日にバンコク郊外にある展示会場BITECにて開催された。この商談会は日本とタイの政府系機関が共催するビジネス商談会であり、日本政策金融公庫、バンコク日本人商工会議所、タイ投資委員会(BOI)が主催。協力機関として、当行などタイに駐在員事務所を有する地方銀行、タイ工業連盟、バンコック銀行など32団体が参加。参加企業数は日タイ合わせて399社となり、前回の296社を大きく上回り、過去最高の企業数となった。日本側では日本政策金融公庫や当行を含む地域金融機関が参加を呼びかけ、タイ側ではタイ工業連盟が加盟企業の中から参加を募った結果、399社の内訳は日系企業228社(前回190社38社増)、タイ企業171社(前回106社65社増)となり、タイ企業の増加が特に目立った。

タイに現地法人を有する日系企業は原価低減のため、仕入を現地調達へ切り替える動きが増加している。また日系企業の求めるレベルに対応できるタイ企業が増加していることも要因の一つである。一方でタイ企業は従来の販路開拓のみを目的とするのではなく、自社で培った技術を用いて日系企業とパートナー関係を構築し、ビジネス展開を模索する企業が増加傾向にあった。

本商談会は、参加費が無料かつ、バイヤー、サプライヤーに分かれて一日最大9商談(1商談25分)のマッチングが可能。参加企業の中で自社が興味のある企業を選定して、事前に商談を希望する仕組みであり、バイヤー、サプライヤーともに事前準備を入念に行うことができる点も魅力の一つである。事前マッチングが9商談全て埋まっていない場合は、その時間を活用して、その企業同士で商談することも可能であり、各社ともに精力的に商談を実施されている。

各国で開催されている商談会や展示会を上手く活用いただけるような情報提供を行い、お取引先の皆さまが成長されるようサポートして参ります。

日タイビジネス商談会の風景写真

(バンコク駐在員事務所 田中)

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