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情報化モデル企業調査

 

農業機械製造を中心に隣接事業へ

株式会社ジョーニシ
代表取締役 上西 治久さん
(インタビュー)
常務取締役 中野 真澄さん

 

 

農業機械製造を中心に隣接事業へ

株式会社ジョーニシは、農業機械メーカーとして、開発から加工まで100%自主生産を行っている企業である。昭和初期から66年に及ぶ歴史を持つが、戦前、戦後を経て、昭和の歩みとともに成長を果たしてきた。高度成長時代には、農業トラクタ用作業機の受注が相次ぎ、売上高、利益とも高い実績を上げる時期があった。
しかし、産業構造の変化とともに、農産物輸入の自由化で農業の構造変化は加速化し、農業機械の需要が大きく減少の一途をたどる。「特に、ウルグアイ・ラウンド農業交渉で大きく日本の農政が変わろうとした時期(交渉は86年〜93年)が一番きつかった」と常務取締役の中野真澄氏は言う。業界での生き残り競争は年々厳しくなってきている。同社においても農業機械での売上高はこの20年間で半減している。
トラクタ用施肥機「このままでは駄目だ」と考え、新たな分野である建設機械用製缶品の生産に着手したのが1988年である。さらに翌89年には、ホームセンター用の外販ラックの生産も開始した。
1990年には、社名をそれまでの「上西農機株式会社」からカタカナの「株式会社ジョーニシ」に変更し、同時に、機械式駐車場用コンベアの生産を始めた。この数年の時期が、ジョーニシが農業機械以外の分野に本腰を入れ始めた時期にあたる。その時の新事業への取り組みが功を奏し、90年代ずっと売上が減少した農業機械の穴を埋めることに成功している。今や、農業機械とそれ以外の比率は半々ぐらいだという。特にホームセンター用の外販ラックは、成長が大きく、今や主流になりつつある勢いである。
重量ラックしかし、中野常務は、「農業機械は、今後も基本だと思う」と語る。「ある程度、農業は日本に残るだろう。農業が残れば、絶対量は減っても農業機械の需要は生き残る。だから、当社ではあくまでも農業機械はやめない」とこだわりを見せている。農業機械製造は、同社の経営を支えてきた中核事業であり、市場規模が小さくなろうとも簡単には撤退できる話ではない。日本の農業の将来を見通し、これまでの技術に磨きをかけて新しい領域に生き残りをかけることが出来ないか。中野常務は、「精密農業(Precision Agriculture)というGPSやセンサーを用いて土壌の管理と窒素肥料を施用する技術が研究されている。今後の日本の農業が生き残る道になるだろう。当社もその農業技術の進歩に注目し、進んでいかなくてはならないと思う」と述べる。

早くから情報化に取り組む

常務取締役 中野真澄さん同社の2代目社長、上西隆夫氏の時代は、当時の総務部長がコンピュータに高い関心を持っていたことから、どこよりも早く最新の情報機器が導入されていた。「コンピュータ導入は30年近くも前になり、紙テープの時代から導入されていた。当時、すでに経理や給与計算はコンピュータで処理していたし、送り状、納品書、請求書などの伝票処理もコンピュータで行っていたので、事務処理は非常に楽だった」と中野常務は言う。
「プログラミング言語はCOBOLや三菱のプログレスなど。現社長の上西治久は滋賀銀行の計算室でシステム開発の経験があり、社内システムのプログラム開発をやっていた。また、私自身も大学でコンピュータを勉強していたので、会社に入社した当時はすべて自分一人に開発を任された」と当時を振り返る。現在は、企画室の課長がその仕事を引き受けてやっている。
現在、同社に導入されているシステムは、CAD、生産管理、販売管理、給与計算、経理のシステムである。あるシステム会社と長年にわたって付き合いをしており、5年前に、それまでの古いシステムを作り直してもらった。生産管理は自動車メーカー向けのシステムに手を加える形で開発し、費用は約1500万円かかった。一方、販売管理は上西治久社長とシステム会社が一緒に作ったものだが、「2000年問題」対応も含めて5年前にリニューアルし、新しいオフコンRX/7000へ乗せ替えた。給与計算システムは一部を除きほとんど自社開発で、経理システムのリニューアルはシステム会社に委託した。
事務所の風景ホームページは2000年に開設したが、その主な目的は「求人対策」と取引先への情報提供である。就職希望者の多くがインターネットを利用しており、企業訪問で来社する学生らがよく似た名前の別会社へ行ってしまうというトラブルがあったからである。そこでせめて会社の地図等を掲載する必要があると判断した。また、取引先から「新製品はホームページに案内を出しておいてくれたら、時々見るようにする」と言われたことも開設の理由である。「なかなか更新ができなくて・・・」と申し訳なさそうな中野常務の弁である。

取引先とのEDIにいち早く取り組む

取引先とのEDI(電子データ交換)の取り組みも、同社の場合、非常に早い時期に行っている。「取引先の大手メーカーとのオンライン化は、すべての企業に対して、どこよりも早く一番に行った」という。通信形態や手順は、相手先によってバラバラであるが、それもすべて対応済みである。「ヤンマーと三菱などはVAN経由の全銀手順、イセキはパケット通信、岡村製作所や日立建機ティエラはインターネットの電子取引というように、それぞれ異なっている」という。
設計部門のCADシステム大手企業が中小企業に対してEDI(電子データ交換)を要請する場合、オンライン・システムと同時にパソコンの新規購入を要請することが多い。しかしジョーニシでは、できる限りオンライン化でパソコンは追加しないようにしてきたという。
「パソコンにエミュレータ(汎用機やオフコンの擬似環境を作るツール)を追加して、通信環境を設定する」という取引先の説明に、「当社ではオフコンでやっているのに、なぜわざわざエミュレータを入れるのか? オフコン同士直接つなげられないか? また、パソコンからオフコンにデータを手入力するのは面倒だ」と依頼し、いろいろなテストを重ねてダイレクトに通信するようになったという。EDI導入で問題にされる「多端末現象」をこのようにして回避したが、データ変換のプログラムはすべて自社開発した。中小企業ではなかなか真似の出来ないことであるが、技術力があればこそ可能な話である。

パソコン、CADのデータは一元管理

同社ではオフコンがメイン・コンピュータであるため、まだパソコンでのクライアント・サーバー形式はとっていない。しかし、4台あるCADのデータにしろ、表計算EXCEL等で作ったファイルにしろ、社内では様々なデータが作られ、再利用される。「サーバーはなくても、データの共有だけはしっかりやろう、と社員に口をすっぱくして啓蒙した」と中野常務は言う。パソコン同士をピア・ツー・ピア(1対1)で繋ぐという簡易LANの方法である。それによって、複数台のパソコン間でバラバラにデータが保管されることなく、たえず最新のデータが共有ディスクに保管されているという状況にある。

情報システムの一層の活用に向けて

ジョーニシの今後の情報化については、次のような課題があるという。
●今年秋には、オフコンをパソコン・サーバーへ切り替え、オフコンとパソコン間のデータ変換の作業をなくす。(現在、一部の社員しかデータ変換の作業を行えない。)
●生産管理システムとCADシステムの連携を図る。それによって、手作業でやっている部品表作成の作業が楽になり、製造指示書に図面を貼付する作業が合理化できる。
●生産管理システムの活用範囲を広げる。年間の生産計画が立てにくいため、せっかくのシステムも半分しか活用できていない。
●販売管理と生産管理をトータルに運営できるよう、人材育成を図る。(現状は、それぞれのシステムを別々の社員が行っているため、在庫管理などが不十分である。)
どこよりも早くコンピュータを導入し、情報システムの利用が「当たり前」という社風にあって、まだまだ取り組むべき課題は多いというのが中野常務の認識である。
「当社ではこれまで『J-JIT』と名づけたカンバン方式を取り組んだが、これからは更に品質管理を重視するTQCにも力を入れていく。また、ITよりも人材教育が重要で、管理職と若い社員とのギャップが大きいという問題を解決しなくてはと思っている。管理職候補から教育を行っていくつもりだ」という。CSI(情報戦略統括役員)あるいはCSO(経営戦略責任者)として、中野常務に課せられた役割は大きいようだ。

企業概要

株式会社ジョーニシ
業種 農業機械製造業
代表者 上西 治久
設立 1950年(1936年創業)
資本金 5000万円
社員数 66名
所在地 滋賀県甲賀郡水口町本綾野4番1号
電話 0748-62-4110
e-mail kikaku@jonishi.co.jp
URL http://www.jonishi.co.jp

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